認知症の一歩手前の軽度認知障害から認知症の一つのアルツハイマー病に進んだ人は、進まなかった人に比べて血液中のカルシウム濃度が低かったとの研究結果を、東京大講師の岩田淳さんらが発表した。
2008~14年に全国38施設で実施した認知症研究のデータを活用。軽度認知障害の234人に行った血液検査の結果と、3年以内にアルツハイマー病に進んだ場合との関連を調べた。
その結果、カルシウム濃度が一定基準に満たなかった109人のうち、58・7%がアルツハイマー病へ進行。一方、基準以上の125人で進行したのは45・6%にとどまった。
カルシウム濃度によって違いが生じた詳しい理由は分かっていない。ただ、カルシウムを体内に吸収する働きがあり、記憶力と関係があるとされるビタミンDが、欠乏していることを示している可能性が考えられるという。
認知症予防に効果があると言われる適切な食事や運動は、カルシウム濃度を高める働きもある。岩田さんは「乳製品を取り入れた食事や適度な運動など、認知症になりにくい生活習慣を勧めることを後押しする結果が出た」と話している。