小児用肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンなどの接種後に乳幼児が相次いで死亡した問題で、和歌山県紀南地方の自治体も国の方針に従い、接種を一時見合わせるよう医療機関に連絡した。田辺市や白浜町、上富田町などでは国の補助を受け、両ワクチンとも自己負担なく接種できるようにしていたため希望者も増えていた。今後、国の対応を見て接種希望者への個別連絡を検討するという。
田辺市は5日朝、市の助成対象の医療機関16カ所に接種を見合わせるよう連絡した。市は1月28日から肺炎球菌やヒブワクチンが無料で受けられる助成券を市民総合センターや各行政局で配布していたが、7日からは配布も見合わせている。
市健康増進課によると、市民総合センターでの受け付け分だけで、これまで両ワクチン合わせて約560人に助成券の受け付けや配布をした。
同課は「厚生労働省から8日に専門家の会議を予定しているという連絡があった。その方針が決まってから市でも検討し、助成券の配布者に個別に連絡する予定」という。国の方針が決まるまでは当面接種の見合わせを続ける。
同課には7日午前中に問い合わせの電話が数件あった。また、接種希望の問い合わせも数件あったが、見合わせることを説明したという。
白浜町は、関係する医療機関に見合わせの再確認をした。2種の予防接種の対象者は約730人。2月下旬に助成券や医療機関などを記した文書を送っている。申し込みや問い合わせは各医療機関にするようになっており、これまでのところ町への問い合わせなどはないという。
上富田町でも5日朝、契約している医療機関に接種を見合わせるよう通知した。町住民生活課によると、7日朝、町民2人から「接種はできるのか」という問い合わせがあった。
すさみ町は4月から接種について補助する方向で、助成券などは今月末ごろに送る予定にしていたが、当面見合わせる。対象者は約120人。
県によると、両ワクチンの接種によって県内で死亡や重症になった例はこれまで報告されていないという。
肺炎球菌ワクチンとヒブワクチン いずれも乳幼児の髄膜炎を予防する。肺炎球菌ワクチンは2010年2月の発売以来、推定110万人に215万回接種、ヒブワクチンは08年12月の発売以来、推定155万人に308万回接種された。昨年11月、市区町村が主体となってこれらのワクチンの接種と公費補助をする場合に国が半額負担する事業が始まっている。
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