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難聴高校生の授業支え 教員の声、タブレットで文字に

 障害者差別解消法施行を受け、京都府教育委員会は昨秋から、聴覚に障害のある高校生への支援に乗り出した。授業中に教員が話す内容が同時にタブレットに文字表示されるシステムの導入で、数年前から難聴生徒の保護者らが要望を続けていた。全教科ではないものの、生徒たちは「勉強が分かりやすくなった」と喜んでいる。
 「YとかXは座標のこと。rは円の座標を指したね」。1月19日、京都市北区の山城高での授業。1年奥山沙代さん(16)の机に置かれたタブレット端末には、数学の教員が説明する声がリアルタイムで文字表示されていた。
 府教委が昨年10月から正式に導入した「モバイル型遠隔情報保障システム」。視覚障害者が学ぶ筑波技術大(茨城県)が開発、教室内のタブレット端末と離れた場所にいる通訳筆記者をデジタル回線で結び、筆記者が教員の話した内容を聞き取り文字入力している。
 聴覚障害者を巡っては、難聴学級のある小・中学校と違い、高校には支援が少ないのが課題だった。山城高に唯一教員でつくる「聴覚障害教育・支援教育部」があり、聴覚障害の生徒を特別に受け入れてきたが、入試制度が単独選抜制に変わり、難易度が上がって入りにくくなった。とはいえ、従来の山城高でも、授業の文字化サポートはなかったという。
 そこで「京都難聴児親の会」(京都市)は数年前から、どこの学校に入っても支援を受けられるシステムとして、導入を府教委に要望。ただ通訳筆記者に対する人件費の予算化に時間がかかっていたため、2014年から昨秋までは、親の会が寄付などから費用を出し、生徒が試験的に利用していた。障害者差別解消法の施行が後押しし、ようやく公費支援が実現した。
 現在は山城・朱雀・大江高の計6人が利用する。予算の都合上、2~3科目しか利用できず、生徒たちは、国語や数学など使いたい教科を選んでいる。
 重度の障害がある奥山さんは、苦手な数学と化学を選んだ。中学校まではろう学校に通っていたため、普通高校に入学するにあたり、勉強についていけるかが最も不安だったという。「情報保障や補習のおかげで何とかついていけている。とてもありがたいけど、利用できる教科が増えたらもっとうれしい」と話す。
 府教委は「予算の範囲内で、できるだけ支援を続けていく」としている。親の会は、子どもたちがより多くの授業で利用できるよう、新年度からも会の資金を拠出する予定という。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170226-00000015-kyt-l26

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