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障がい者雇用で知っておかなければならない法律

1.障害者虐待防止法
近年の我が国の障害者の権利に関する動きとして、平成18年に障害者権利条約が成立し、平成26年に批准したことをはじめ、平成24年には障害者虐待防止法の施行、平成28年4月には障害者差別解消法と成年後見利用促進法が施行されるなど、障害者に対する法律や政策の考え方が根本的に変わってきている。(オルタナコラムニスト・橋本 一豊)

今回のコラムでは、障害者虐待防止法(正式名称:「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」)についてお伝えしたい。

障害者虐待防止法は、長年「自分の気持ちをうまく言葉で訴えられない」「相談できる相手がいない」など、自分を守る術を持たない障害者の権利や尊厳がおびやかされることを防ぐためにできた法律であり、虐待を起こすことのないように、国民に通報義務を課すものである。

詳細は以下の厚生労働省のホームページ参照いただきたい。
障害者虐待防止法施行(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/gyakutaiboushi/index.html

障害者虐待防止法の規制する虐待とは、養護者による虐待、障害者福祉施設従事者による虐待、使用者による虐待を意味しており、企業にとって、雇用している障害者に対するどのような行為が虐待とされる恐れがあるのかを、きちんと把握しておくことが重要といえる。

では、どのような行為が虐待になるのであろうか?
以下のように、激しい暴力はなくても、様々な行為が「虐待」にあたる可能性がある。

(1)身体的虐待
・暴力的行為で痛みや外傷を与える
・身体的に拘束し,外部との接触を遮断する
(2)介護・世話の放棄・放任
・介護や食事,入浴等の生活の世話を行わず,生活環境や,身体・精神的状態を悪化させる
・医療・介護保険サービスを制限したり、利用させずに放置する
(3)心理的虐待
・脅しや侮辱などの言語や,無視,嫌がらせ等によって,精神的苦痛を与える
(4)性的虐待
・性的な行為またはその強要、裸にして放置したり、わいせつな画像等を見せる
(5)経済的虐待
・本人の許可なく,本人の財産や金銭を使用し,本人の希望する財産の使用を理由なく制限する

なお、厚生労働省では障害者を雇用する事業主や職場の上司など、いわゆる「使用者」による障害者への虐待の状況や、虐待を行った使用者に対して講じた措置などについて公表しているので紹介したい。

平成27年度「使用者による障害者虐待の状況等」の結果
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000131348.html

なお、以下が主な結果となっている。

1 通報・届出のあった事業所は、1,325事業所
2 使用者による障害者虐待が認められた事業所は、507事業所
3 虐待が認められた障害者は970人
4 虐待を行った使用者は519人
5 使用者による障害者虐待が認められた場合に労働局がとった措置は978件

では、虐待を発見した場合にはどのように対応すればよいのだろうか?

●「虐待」を通報する。
「虐待」を受けたと思われる高齢者・障害者を発見した人が、区市町村に通報すべきことが定められている。周囲の人が皆で見守り,早期発見,早期通報することで、「虐待」を防ぐことができる。

●通報したことを知られたくない・・・
通報を受けた区市町村の職員には,守秘義務が課せられている。また,通報した施設職員が通報等をしたことにより不利益な取扱いを受けないことが,法律で定められている。

●どこに通報したらいいかわからない・・・
区市町村の高齢者,障害者の担当部署や,最寄りの「地域包括支援センター」に通報・相談することができる。

こうした法律が成立し施行されることは、障害者の権利擁護の観点から大変喜ぶべきことだと言えるが、一方で、この法律自体が、社会にいまだ障害者差別、虐待があることを逆証しているとも言える。

法律によって虐待を罰し、未然に防ぐための対策に力を注ぐよりも、同じ社会で生活する人間として、当たり前のように障害者の権利が守られ、虐待が起こらない社会や文化を創っていくことこそが、本来の社会のあるべき姿であり根本的な民主主義の価値といえるのではないだろうか?

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