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罪犯した障害者 社会復帰へ 雇用で自立、前向く勇気も 農が後押し

地域と融和 積極的に
 農家の労働力確保と障害者の雇用促進を図る「農福連携」が、罪を犯してしまった触法障害者や、刑務所を出所した障害者の更生支援の場として期待されている。埼玉県の農業企業では、触法障害者がネギの育苗やタマネギ生産を行い、鹿児島県の社会福祉法人が運営する養豚農場でも服役後の精神障害者が汗を流す。雇用側は「農業を通じ、障害者の社会復帰の一助になれば」と願う。
埼玉
 埼玉県熊谷市で農福連携を推進する農業企業、埼玉福興に勤める発達障害を持つ男性(33)は「ネギの苗作りを始めたころは2割しか芽が出なかった。その悔しさが今につながっている」と、満面の笑顔でネギの育苗トレーを眺める。男性は21歳のときに傷害事件を起こし、医療少年院に入院。退院後、同院統括官の薦めに従い同社に入った。

 12年の農業経験を積んだ今は、触法障害者6人を率いる農業班のリーダーで、タマネギを年間38トン生産する他、近隣農家からの発注でネギの育苗を主導する。男性は「仲間とにぎやかに仕事できるのが楽しい」と働く喜びをかみしめ、罪を犯した過去を「後ろ向きだった」と振り返る。「農業は気持ちが上向く。タマネギは5ヘクタールまで手掛けられるようになろうと皆で励まし合っている」と意欲的だ。

 同社では10~70代の知的・精神・身体・発達障害者36人が野菜生産を行う。うち7人が触法障害者だ。同社代表の新井利昌さん(42)は「多様な作業のある農業では、障害や性格の特性に配慮した仕事の割り振りができる」とし、「農作業を通じ、規則正しい生活習慣や健全なものの見方や考え方が身に付く」と強調する。

 同社は周辺農家の作業を手伝ったり、地元企業と連携したりするなど積極的な交流を図ることで、近隣住民の理解を得てきた。触法障害者7人も大きな声であいさつをし、住民と談笑するなど地域に溶け込む。
鹿児島
 農福連携を実践する鹿児島県南大隅町の社会福祉法人白鳩会は、農事組合法人根占生産組合を立ち上げ、近隣の耕作放棄地などを借りて野菜栽培と養豚を行う。運営する「花の木農場」で働く障害者約100人のうち10人が受刑した触法障害者だ。地域の保護観察所の相談を受け、法を犯した障害者の受け入れを8年前から始めた。同法人常務理事の中村邦子さん(45)は「連携して行う農業を通じて、他者から必要とされる実感を持つことが情緒安定につながる」と効果を強調する。

 1972年に立ち上げた同法人は、農産加工品販売やイベント主催などで近隣住民と交流を重ね、信頼を得てきた。「近隣住民の障害者への偏見や就労者による地域でのトラブルはない」と中村常務理事。迷子になった就労者を近隣住民が見つけてくれたこともあるという。

 こうした受け入れに対し、関係省庁も期待する。再犯防止対策に力を入れる法務省矯正局は「罪を犯した障害者には刑罰対応だけでなく、福祉の助けで自立と働く喜びを与え、再犯をなくすことが最重要。地域に根差し命を育む農業は、地域住民の理解や温かい見守りが得られやすい」と期待する。

 厚生労働省障害保健福祉部も「農福連携が機能している企業・団体は町内の自治会に加わったりイベントを通じて働き手を覚えてもらったりなど、時間をかけて地域の信用を得ている」と、地道な働き掛けの必要性を挙げる。(齋藤花)
不安を与えない対応能力が必須
 JA共済総研・濱田健司主任研究員の話
 
 触法障害者を受け入れている農業団体・施設の中には、周辺地域に不安を与えまいとの配慮で、受け入れを公にしていないところもある。受け入れには雇用側の触法障害者への理解と辛抱、トラブルへの対応能力が欠かせない。
<ことば> 触法障害者
 法律に触れる行為をした発達・精神障害などを持つ人。心神喪失のために善悪の区別ができないと判断されれば刑事責任は問われず、精神保健福祉法の手続きに従い処遇される。自傷他傷の恐れがあると判断されれば、都道府県知事によって医療少年院などの指定病院に措置入院させられる。
日本農業新聞

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