◇健康調査明記されず
新潟水俣病の未認定患者らでつくる阿賀野患者会の会員が国と原因企業の昭和電工(東京)に損害賠償を求めた新潟水俣病4次訴訟で、同会は27日、3月3日の和解を正式決定した。原告173人のうち第三者委員会に諮られていた171人全員が一時金210万円などの支給対象となった一方、同会が国に求めていた被害者掘り起こしのための住民健康調査は和解条項には明記されない見通しとなった。
3者は10年10月、一時金や医療費などの支給を盛り込んだ和解案に基本合意。原告一人一人が支給対象となるかは、新潟大での診断と主治医の診断書に基づき、3者が選任する委員でつくる第三者委員会が判定することとしていた。
患者会によると、合意時の原告174人のうち、国の基準に基づく認定審査会で患者と認められた2人と、同審査会での認定を目指し10年末に訴えを取り下げた1人を除く171人が支給対象と判定された。
集会には92人が参加し、全員が和解に同意。出席しなかった79人も、委任状で賛成を表明した。山崎昭正会長は「全員対象になったことをうれしく感じる」と話し、山田サチ子副会長も「皆さんにとても喜んでいただいた」と語った。
和解条件の詳細を定めた和解条項には、昭電の会長が謝罪をすることなどが盛り込まれる見通しとなった一方、住民健康調査については「最新の医学的知見を踏まえた調査研究を行うこととし、そのための手法開発を早急に開始するよう努める」との表現にとどまる見込み。ただ3者で定期的に話し合いの場を設けることが定められるという。【畠山哲郎】
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