今年度に入って県内で熊が目撃されたり痕跡が報告された件数は、県が統計を取り始めた平成18年度以降で過去最多のペースとなっている。4月から今月14日までの累計で246件に上り、前年同期の175件より約4割も多い。県は、秋田で4人が熊に襲われて死亡したとみられる被害が起きたことも踏まえ、被害に遭わないように呼び掛けるパンフレットを新たに3万部作成。県の地域振興局や市町村を通じて関係団体や住民に配り、注意喚起に努めている。
県環境企画課のまとめによると、熊の目撃などの報告数は4月は38件(前年同月は29件)、5月は137件(同100件)、今月も14日までの集計で71件と前年を上回るペースだ。
4月以降の累計は市町村別では長岡市が26件と最も多く、阿賀町、上越市、村上市の順で続く。「いずれも出没数が例年多い」(同課)といい、地域的には大きな変化はない。
新潟市秋葉区では、新潟薬科大新津キャンパスの近くで学生が熊を見かけるなど目撃数は16件に上り、同区は「目撃地の周辺では単独での行動は控えてほしい」と呼び掛けている。
県は新たに用意したパンフレットで、人身被害を防ぐためには(1)熊に出合わない(2)熊を引き寄せない(3)もし出合ったら落ち着いて行動する-といった3つのポイントを紹介している。
具体的には、自分たちの存在を鈴やラジオの音などでアピールして出合わないようするほか、餌となる生ゴミなどは持ち帰るか土に埋めることを推奨。熊に遭遇した場合は、そっと後ずさりして離れるよう促し、襲ってきた場合は「死んだふり」は効果がないため、地面に伏せて頭や首を両手で守るよう訴えている。
専門家によると、餌となるブナの実が昨年は豊作で雌の栄養状態が良く、生まれる子熊の数が増えたことが、出没数の増加につながっているようだ。県は今年度の報告数が、過去最多だった22年度の1229件並みになる可能性もあるとみて、山に入る場合は慎重に行動するよう求めている。
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