大手ビール各社が今夏、ビール生産を増やす。キリンビールとサントリービール、サッポロビールの3社は前年同期比で1割程度増産する。アサヒビールも「需要動向に応じて柔軟に対応する」方針だ。税制改正で早ければ来年度にもビールの税率が引き下げられるとの観測が広がっており、各社は発泡酒や第3のビールから経営資源をシフトし、ビールブランドを強化する狙いだ。
今夏は猛暑になる可能性が指摘されていることも、各社の増産を後押しする。
キリンビールは15日、ブランド強化の一環として、主力ビール「一番搾り」を取り扱うコンセプト店「キリン一番搾りガーデン」を、東京都港区の南青山にオープンした。広告や販売促進費は前年と同水準ながらビールに重点的に配分する計画で、6月のビール生産は1割超増やす。
サントリービールも6~8月のビール生産を1割増やす。サッポロビールは6~7月のビール生産を11%増やす計画だ。
各社がビールを強化するのは参院選後に税制改正論議が活発になり、早ければ「来年度にも酒税が改正される」との思惑からだ。
ビール、発泡酒、第3のビールに分かれている税率が統一され、発泡酒と第3のビールの税率が上がる一方、ビールは減税されるとの見方が優勢だ。
また、今夏の気温が高くなれば、ビール販売が伸びる可能性がある。気象庁は10日、南米ペルー沖で海面水温が高くなるエルニーニョ現象が今春に終息した影響で、今夏の日本は猛暑になる可能性を発表した。アサヒビールの平野伸一社長は15日、記者団に対し、今夏のビール類の生産について「猛暑になれば3交代制で、土日の稼働も辞さない」と述べ、増産する方針を明らかにした。
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