長野県は7日、伊那市の小学校で児童10人を含む計11人が、有毒植物のスイセンの球根を山菜のノビルと誤って食べて食中毒になったと発表した。
いずれも命に別条はなく、快方に向かっている。県内では4月下旬から有毒植物による食中毒が相次ぎ、県は同日、「食中毒注意報」を発令。「山菜と有毒植物の特徴の違いをしっかり把握してほしい」と呼びかけている。
発表によると、同じ学級の児童11人と40歳代の女性教員の計12人が6日昼、校庭に生えていたノビルの球根を電子レンジで加熱調理して食べたところ、スイセンの球根が混ざっていたという。このうち11人が吐き気や 嘔吐おうと の症状を訴え、4人が市内の病院で診察を受けた。
この小学校の児童の保護者らによると、食中毒になった児童は2年生で、給食の時間に食べたところ、症状を訴えたという。同校の男性教頭は「児童のプライバシーに関わることなので何もお話しできない」と話した。
県食品・生活衛生課によると、スイセンとノビルの球根はタマネギのような形をしており、よく似ている。スイセンの葉にはにおいがないが、ノビルにはネギに似た特有のにおいがある。
県内では2011年以降、有毒植物による食中毒は確認されていなかったが、今年は相次いでいる。4月24日には中野市で4人がニラと誤ってスイセンを食べ、5月2日には、木曽郡で2人が山菜のオオバギボウシと間違えて有毒のバイケイソウを食べ、いずれも食中毒になった。
山菜に似た有毒植物の写真は県のホームページに掲載されているほか、各保健所が山野草の知識が豊富なボランティア「薬草指導員」を紹介している。また、他県では山菜と間違えて有毒植物を販売し、食中毒につながったケースもあることから、県は「種類がよくわからない植物は自分で食べないだけでなく、人に売ったり、譲ったりしないでほしい」と呼びかけている。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160509-OYTET50011/