2016(平成28)年度から施行される障害者差別解消法によって、一般の小中学校に通う障害児に対する保護者の付き添いが問題になる可能性があるという。ベネッセ教育情報サイトが、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に何が課題になるのか話を聞いた。
障害者差別解消法が施行されると、公立学校には障害がある子どもたちへの介護や支援などに関する、「合理的配慮」の提供が義務付けられることになっています。この「合理的配慮」の範囲が問題となりそうなのです。
障害のある子どもの保護者は、学校での日常的な付き添いは負担が重く、仕事に就くこともできないため、付き添いを必要としないよう「合理的配慮」を求めます。逆に学校は、教員や特別支援員などの人員増は財政的に困難なため、「合理的配慮」の対象にはならないという考え方を取ることになります。文科省は、同法の施行にあたり、保護者に付き添いを求めることができるかどうかが、「(公立学校の)合理的配慮の提供において一つの論点となる」との認識を持っています。
現在、小中学校の特別支援学級には、小学校で約12万9,000人、中学校で約1万7,000人の子どもたちが在籍しています。約1,900人の保護者の付き添いは、今は数字的にはごく少数に見えますが、今後、一般の小中学校に入学を希望する障害児は増えると予想されます。その際、学校が「合理的配慮」として、どこまで対応すべきなのかが大きな課題になってくるのは確実でしょう。レアケースとも見える付き添い問題の背景には、小中学校は障害のある子どもたちにどこまで配慮すべきなのかという大きな問題があることを、一般の保護者も知っておく必要があると思われます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151203-00010003-benesseks-life