消費者庁は18日、高齢者のやけどに対して注意喚起を行いました。高齢になると運動機能や感覚機能が低下するため、さまざまな事故を起こしやすくなります。加えて、高齢者の皮膚は若年者に比べて薄く、やけどしやすく、また、やけどをした際に重症化する傾向があります。特に注意が必要なやけどは、1)低温やけど、2)着衣着火、3)ストーブに置いたやかん等の熱湯を浴びる事故、4)入浴に際しての事故、となっています。ここでは最も多くの事故情報が寄せられた低温やけどについて見てみましょう。
◆高齢者に多い「低温やけど」
消費者庁に寄せられた、65歳以上の高齢者のやけど事故情報338件(平成21年9月1日~平成27年9月末日)の内、119件は低温やけどに関するものでした。この内、10件(8.4%)は入院治療を必要とする重症例だったといいます。
低温やけどの原因としては次のものが挙げられています。
・カイロ…28件
・湯たんぽ…19件
・ストーブ…18件
・電気毛布、あんか…12件
高齢者は熱さに対する感覚が低下しており、こうした機器を長時間使用してしまう傾向にあります。低温やけどは一般的なやけどに比べて痛みが少なく、水ぶくれなどの症状もあまり出ませんが、実際には重症化しているケースが少なくありません。
◆低温やけどを防ぐには?
皮膚をどれくらいの時間温め続けると低温やけどになるのか見てみましょう。
・44℃…3~4時間
・46℃…30分~1時間
・50℃…2~3分
低温やけどは長時間同じ場所を温め続けることで生じます。少なくとも上に挙げた時間を超えて温め続けることは避けなければなりません。低温やけどの原因になりやすい張るタイプのカイロと湯たんぽについて、具体的な対処法を確認しておきましょう。
≪張るタイプのカイロを使用するときの注意点≫
・肌に直接ふれないようにする
・眠るときは使用しない
・1時間に1回は皮膚の状態を確認する
・ベルトや椅子、サポーター等による「押し付け」は行わない
・複数袋の同時使用を避ける
・他の暖房器具の近くでは使わない
≪湯たんぽを使用するときの注意点≫
・布団が暖まったら湯たんぽを布団から出す
・一定時間ごとにゆたんぽの位置を変える
・湯たんぽを厚手のタオルや布で包む
通常のやけどとは異なり、低温やけどは水で冷やしても効果はないとされています。また、軽傷に見える場合でも深部にまでやけどが拡がっており、実際には重症であることも少なくありません。痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
<参考>
高齢者のやけどに御注意ください!(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/safety/new_2015.html#11
監修:岡本良平医師(医学博士)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151120-00010000-mocosuku-hlth