乳がん検診で乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)に超音波検査を加えると、40歳代女性ではマンモ単独よりがんの発見率が1・5倍に高まるという調査結果を、東北大の大内憲明教授らの研究グループがまとめ、5日、英医学誌「ランセット」電子版に発表した。
大規模研究で超音波検査の有効性を明確に示したのは世界で初めてという。
2007~13年、全国の40歳代女性7万6196人をマンモ単独と超音波併用の二つのグループに分け、検診を2年間に2回受けてもらって検証した。
がんの発見率はマンモ単独の0・33%に対し、超音波併用は0・50%と1・5倍になった。がんを見逃さない割合を示す「感度」も、超音波併用(91・1%)がマンモ単独(77・0%)を上回った。
要精密検査率はマンモ単独の8・8%に比べ、超音波併用は12・6%と高かった。がんがないのに検査で細胞の一部を切除するなどの不利益が増える可能性もある。
40歳代は乳腺が発達した女性が多く、マンモでは乳房全体が白く映り、がんと見分けがつきにくい。超音波検査は、こうした女性に向くとされる。
市町村が実施する乳がん検診(40歳以上、2年に1度)は現在、マンモと視触診を併用しているが、来年度からマンモだけとなる。ただし、超音波検査は死亡率減少効果が証明されておらず、研究グループは引き続き調査する。大内教授は「今回の結果は、国が定める検診に超音波検査を導入するための最初の一歩」と話している。
(2015年11月6日 読売新聞)
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