自治労の月刊誌「月刊自治研」に当NPOのことが掲載されました。
掲載されているのは「ローカル・イノベーションによる地域の仕事創出」というタイトルで始まっている記事の中で、執筆者は需要研究所の山本眞人さん。
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「携帯メールを使った生きた地域メディア」
笠井徳昭さんが事務局長をつとめるNPO法人住民安全ネットワークジャパンが運営している住民あんぜん長岡は、既存のIT技術をうまく活用して地域コミュニティのつながりを強化する生きた地域メディアをつくりあげている点で、ローカル・イノベーションの優れた例のひとつと言える。
防犯、火災、災害などの行政情報をメールで住民に配信する仕組みが多くの地域でつくられつつあるが、ほとんどが縦割りの情報配信で、住民は防犯、火災-----など分野ごとに登録したり解約したりする必要がある。それに対して、住民あんぜん長岡の場合、NPOが各行政機関から情報を提供してもらい、横断的に編集された情報を住民に配信している。住民は住民あんぜん長岡に登録すれば、安全に関するさまざまな行政情報を配信してもらえる。登録者数は1万4千人を超えているそうで、長岡市の人口は30万人なのでかなり高い利用率になっていると言える。
住民あんぜん長岡のサービスは子どもの安全を確保することがもともとの主なテーマであり、警察から提供してもらった不審者情報の配信が出発点になっている。これをベースにしながら、徐々に情報を提供してもらう行政の部署を増やしてきた。横断的に情報を配信する場合、住民にとってあまり関係のない情報が多くなると解約につながってしまう。そうしたことのないように、笠井さんたちは、それそれの地区にどんな情報をどういうタイミングで配信すればいいかなど細かい配慮をし、また、わかりやすい情報になるように表現を選ぶなど編集上の工夫をしている。
こうした努力によって、住民あんぜん長岡は利用者にとって、信頼感、親近感のある地域メディアと感じられるようになり、その結果、利用者から安全に関する地域情報がフィードバックされるようになり、双方向的なメディアとしての機能をもつようになった。笠井さんたちは、こうした利用者の参加を情報特派員という形で制度化している。現在、80人を超える情報特派員が各地区に点在するようになっている。
住民あんぜん長岡のように、住民が信頼感、親近感をもつ地域メディアが広く住民に利用される状態になっていると、地震などの災害時には、これを被災者が必要な情報を共有するメディアへとすぐに転換させることができる。被災者にとって、広域の情報と各地区での被災状況と救援活動の詳細などミクロ的な情報の両方が必要だが、後者については住民あんぜん長岡の方式の有効性が高いと思われる。また、災害時に、きめ細かい地域情報を配信するためには、情報特派員制度の充実がきわめて重要な意味をもつ。
笠井さんたちは、こうした住民あんぜん長岡の仕組みを他地域にも普及させる必要があるのではないかと考え、そのための糸口を探しているところだ。この仕組みを他地域にも普及させ、また地域コミュニティのつながりを強化するメディアとして機能を拡充していければ、地域の仕事創出の仕組みとなっていく可能性をもっている。
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私たちの情報ネットワークがすでに「地域メディア」の機能を有していると、山本さんは言ってくれています。