【 糟糠(そうこう)の妻(つま)は堂(どう)より下(くだ)さず 】……後(ご)漢書(かんじょ)
(訳… 糟糠(そうこう)は酒かすや米ぬかで、粗末な食べ物のことです。貧しい時代、共に苦労をして来た妻は、例え夫が後に偉くなり出世をしても、家から追い出すようなことをしてはならない)
~ これは後漢(ごかん)の初代皇帝・光武(こうぶ)帝(てい)(劉(りゅう)秀(しゅう))と大司(だいし)空(くう)・宋(そう)弘(こう)との会話からの故事です。光武(こうぶ)帝(てい)に未亡人の姉・湖(こ)陽(よう)公(こう)主(しゅ)がおりました。武(ぶ)帝(てい)は、姉が兼ねてから宋(そう)弘(こう)に心を寄せていることを知っていました。
姉思いの武(ぶ)帝(てい)は、姉に「宋(そう)弘(こう)の気持ちを聞いてみるので、貴女はその屏風の陰に隠れて聞いていて下さい」と言って宋(そう)弘(こう)を呼び出して、次のような話をしました。
「宋(そう)弘(こう)殿(どの)、諺にもあるが、【貴く(たっと)して交(まじ)わりを易(か)え、富(とみ)ては妻(つま)を易(か)う】
(訳は、地位が高くなったら、地位に相応しい相手に変えるし、財力も豊かになって来たら、財力に相応しい妻に変える)、とあるが、宋(そう)弘(こう)殿(どの)はどう思われるかの」すると宋(そう)弘(こう)は、
「【貧賎(ひんせん)の交(まじ)わりは忘(わす)るべからず、(貧しかった時の友は、いつまでも忘れない)
糟糠(そうこう)の妻(つま)は堂(どう)より下(くだ)さず】と聞いております」。
☆…泣かせるねえ、宋(そう)弘(こう)は。~