「折りたたみ自転車で走行中、段差を乗り越えた際に、折りたたみ部分が破断して転倒し、顔面打撲等の傷を負った。折りたたみ部分が破断した原因を調べてほしい。」というテスト依頼が寄せられたため商品テストを行ったところ、溶接強度が不足していることがわかりました。
現在、輸入代理店である株式会社アキボウが当該品を含む6車種(Tern ・Verge X20 ・Verge X10 ・Verge X30h ・Verge S11i ・Eclipse X20 ・Eclipse S11i)についてフレームの回収と交換を行っています。上記の車種の自転車をお持ちの消費者は、株式会社アキボウにご確認ください。
写真.当該品(Eclipse X20)の外観
事業者の対応
輸入代理店は、過去の輸入代理店が輸入したものを含め(注1参照)、当該車種についてフレームの回収と交換を行っています。該当する折りたたみ自転車を所有している場合は直ちに使用を中止し、下記に連絡して下さい。
輸入代理店:株式会社アキボウ
e-mail:info@ternbicycles.jp
電話:0120-557-602(土曜・日曜・祝祭日を除く9時~12時、13時~17時)
社告掲載URL:http://www.ternbicycles.com/jp/node/151611
なお、当該車種を含め、下記の6車種について回収と交換を行っています。
・Verge X20 ・Verge X10 ・Verge X30h ・Verge S11i ・Eclipse X20 ・Eclipse S11i
- (注1)Ternの輸入代理店は
2013年7月31日までは(有)サイクルクリエーション、
2014年8月31日までは(株)エヌビーエス、
2014年9月1日より(株)アキボウとなっています
当該品の調査
当該品の破断部はアルミフレームの折りたたみ部で、パイプ材とフランジ(つば)の突き合わせ溶接部でした(以下、破断部のうちシート側を「シート側破断部」、前輪・ハンドル側を「ヘッド側破断部」という)。なお、パイプ材に変形などは見られませんでした。
ヘッド側破断部は下側以外でパイプ材の端面が見られました。溶接金属の外周に破断面が見られることから、溶接部に融合不良(溶接金属と母材とが完全に溶け合っていない状態)はなかったと考えられますが、内周には未溶着面があり、溶接強度不足であったと考えられました。
ヒンジ(ちょうつがい)側の亀裂は内側の溶接部から外側に進展しており、亀裂が発生した溶接部に破壊の直接原因となるような不具合は見られませんでした。破断部分の下側の亀裂はヒンジ側から進展していました。いずれの破断面にも繰り返し応力で形成されるストライエーション模様が見られ、破壊の形態は疲労破壊であったと考えられました。
亀裂発生部分と考えられるヒンジ側の溶接部において、断面組織観察を行ったところ、溶接金属に破壊の直接原因となる様な不具合は見られなかったものの、溶接部には未溶着面があり、亀裂はこの未溶着面の端から発生していました。
以上の結果から、当該品はパイプ材とフランジの溶接が適切でなかったため、未溶着面の先端が起点となり、疲労亀裂が進展して接合面積が減少し、折りたたみ部にかかる荷重に耐え切れずに破断したものと考えられました。
折りたたみ自転車の危害・危険情報
PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)(注2)には折りたたみ自転車の危害・危険事例が97件(注3)寄せられています。年度別で見ると、2010年度の27件以降、毎年20件近く寄せられていました。
また、危害内容別を見ると、「擦過傷・挫傷・打撲傷」が26件と多く、次いで「骨折」が15件で、危険内容は、「破損・折損」が46件、「部品脱落」が24件の順でした。
- (注2)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースです。
- (注3)2010年度以降受付、2015年7月末までの登録分。件数は、本公表のために特別に事例を精査したものです。
自転車のリコール情報
今回の折りたたみ自転車のリコール以外にも、リコールが出されている自転車がありますので、消費者庁リコールサイトでも確認してください。
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 経済産業省 商務情報政策局 製品安全課
- 一般社団法人自転車協会
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150917_1.html