6月11日午前9時、激しい雨に見舞われた熊本県内にある約6万世帯に避難勧告が出されました。自宅に戻れず、何かと不便なことも多い避難所生活。続いていくとストレスが溜まり、ひどい場合はお年寄りを中心に「生活不活発症」になってしまうと言われています。
生活不活発症にならないためには、避難先でどのような生活を送ればいいのでしょうか?
◆「生活不活発症」って?
生活不活発症とは、その名の通り生活が不活発になること。これによって全身の機能が低下し、筋肉や骨が衰えてしまうことを言います。人間の筋力低下は1日動かさないだけで3~6%衰えるといわれ、回復するまでには1週間かかります。生活不活発症になると、少し動くだけで息切れがしたり、外出するのが億劫なってしまうことも。
また、身体だけでなく精神の面での影響も強く、人と話すのが面倒になったり、目的を見失ったりしてしまいます。身体を動かさない生活を続けると、全身の器官の機能が低下し、認知症やうつ状態などの影響もみられます。
◆「生活不活発症」にならないために避難所でできることとは
生活不活発症は「動かないこと」が原因です。動かなくなると、頭を使わなくなったりする外出が面倒になったりと悪循環に陥ります。これを防ぐためには、本人が自発的にやりたいことを見つけ出すことが大切です。とはいえ、避難所や被災地で「やるべきこと」を見つけるのはなかなか難しいもの。何も手につかないときは、身近なことから始めましょう。
●少しでも動く
避難所では動かずにじっとしていることも多いはず。人と積極的に話をしたり、周囲の人に挨拶をしたりと目的を持って行動をするようにしましょう。歩きにくい場合は、杖や伝い歩きなどを使って工夫を。ひとりでいるとどんどん思いつめてしまうもの。自分の足で歩いて行動することで、ふさぎ込みがちだった心が明るくなります。
●掃除をする
避難所では何も手につかなくなり掃除を怠ってしまうこともあるでしょう。「部屋の状態は頭のなかの状態」などと言われることもありますが、物を捨てたり片づけたりすることで頭のなかが整頓されます。また、掃除は必然的に身体を動かす行為になるので、運動不足の解消にもつながります。部屋の掃除をすることで、自分のやりたいことややるべきことが明確に見えてきます。
・記録をつける
避難所で何もしない生活を続けていると、認知症やうつ病になってしまうリスクが高まります。避難所生活の記録をつける習慣をもつと、脳の衰えを防ぐことができます。特に「今日あったこと」よりも「昨日あったこと」を思い出しながら書くほうが効果的です。
◆生活不活発症を未然に防ごう!
何もやることがないと、心身ともに衰えていってしまいます。些細なことでも自発的に「やりたいこと」を見つけ、行動していくことが生活不活発症を防ぐ一番の方法です。「面倒だから…」「どうせできないから…」と諦めることは、生活不活発症を助長することになります。「動かない」から「動く」へ、そして「動くのが楽しい」に変わるよう、周囲と協力し合って乗り越えていきましょう。
監修:岡本良平(東京医科歯科大学名誉教授)
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