「学校は怖い。高校にも行かない」と、中学校に通えなかった女子。しかし、中3の夏から突如学校に行くようになり、難易度の高い高校の入試にチャレンジして無事入学したという。「子どもが持つ可能性の大きさに感動した」と話すコーチングのプロ、石川尚子氏に、このケースの成功要因について伺った。
「ほかの先生は『絶対無理!』と言いましたが、私は『大丈夫!』と思っていました」とおっしゃるのは、不登校時代から彼女をコーチングしてきた適応指導教室の先生。先生は、「学校に行こう」とか「高校に進学したほうがいいよ」という話ではなく、「何でもできるとしたら何をやってみたい?」「憧れていることは何?」と、言葉を変えながら、折々に質問をしたそうです。ギターを習っていた彼女は、そのうち、「ギターを弾いていたい」と話し始め、「音楽家になるために留学したい」と言い出しました。
「留学するにはどうしたらいいのかな?」先生は質問によって、本人が自分で考えるよう促していきました。対話を繰り返すうち、「留学するためには、大学に行ったほうがいい。そのためには、高校に行ったほうがいい」と自分で思ったようです。
目先の進路だけを考えていると、楽しい気持ちになれません。しかし、もっと先にある「本当はこうなりたい!こんなことができたらいいな」という気持ちに焦点を当てたら、今、必要なことに気付けます。「自分が行きたい方向に行くため」と目的が自分ごとになった時に、行動が起きるのです。目の前の勉強になんとか取り組ませようとする前に、受験よりももっと先にある夢について語り合う時間を持つことは、案外、近道で効果的なのではと思います。
子どもが本当にその気になれば、2年半のブランクなど半年で取り返してしまえることを教えてくれた事例でした。誰もが大人の想定などはるかに超える可能性を秘めている、という前提で子どもたちに関わりたいものです。
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