[ カテゴリー:福祉 ]

企業に手作り置き菓子 川崎の施設、障害者の就労支援

障害者就労支援施設「おかし工房しいの実」(川崎市中原区)が、手作り菓子を詰めたボックス「お菓子BOX」を近隣のオフィスに置き、菓子購入を促すプロジェクトに取り組んでいる。販路開拓につなげる試みで、5月中をトライアル期間として4月末にスタート。納品先はまだ5事業所だが、「納品の翌日に追加注文してきた事業所もあった」と確かな手応えを感じている。

焼きたて菓子の入ったBOXを手に、薄井美世子さん(32)と上村絵美さん(30)は18日、武蔵小杉駅近くの情報通信業・アルファメディアを訪れた。1週間前に届けたBOXと交換して料金箱を回収し、「たくさん売れてほしい」と口をそろえる。

一つのBOXには25個ほどのクッキーやラスクが入る。値段は1個100円と150円。無人販売で、代金は料金箱に入れてもらう仕組み。飽きないように季節の菓子を入れるなど工夫を凝らし、冷蔵庫があれば賞味期限の短いパウンドケーキやシフォンケーキも販売する。

1週間ごとに交換するBOXの置き場所は、オフィス内でも足を運ぶ機会が少ない課長席の後ろを想定し、プロジェクト名は「課長のうしろ-behind your boss」。野村喜代美施設長(53)は「今はスタッフが同行しているが、いずれは障害者だけで納品も交換もできるようにしたい」と話す。

プロジェクトは、障害者施設を対象に川崎市が2014年度から実施している「川崎モノづくりミーティング」の実践第1号。施設で働く障害者の工賃アップを目指し、(1)どうすれば、いまある商品がもっと売れるか(2)もっと良い商品を作れないか-などを学んだ。

しいの実の平均工賃(就労)は月額約2万4千円。全国平均や市内平均を1万円程度上回るものの、「年金と合わせて、自立した生活を送れる工賃は5万円」と野村施設長。工賃アップには販路開拓が欠かせず、半年後に10、1年後には15事業所に増やすことが目標だ。

BOXを置くオフィスにとっては、小腹がすいたときのリフレッシュや社内コミュニケーション促進などが期待できるという。アルファメディアの小湊宏之社長(40)は「社員は自由にお菓子を買っていたので、自然に導入できた。施設の仕事が増えてほしい」と話していた。

市障害者雇用・就労推進課は、「効率よく利益を上げる工賃アップのモデル事業」と高く評価している。

お菓子ボックスの問い合わせは、しいの実電話044(434)5527=平日午前9時~午後5時。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150522-00001186-kana-l14

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