21日、19世紀末のフランスに生きた三重苦の少女マリーの実話を映画化した『奇跡のひと マリーとマルグリット』で主演を務めたフランス人女優アリアナ・リヴォワールが初来日し、都内で行われた記者会見に出席した。自身も聴覚に障害があるアリアナは、「映画は、健常者も障害のある人たちも、みんな『同じ人間』として楽しむべき娯楽。それを実現するためにも、障害者が抱えている困難をリスペクトする心、そして、そこにきちんとお金をかけることが必要」とバリアフリー上映の必要性をアピールした。
同作は、生まれつき耳も目も不自由な少女マリー(アリアナ)と、彼女の教育に身をささげた修道女マルグリット(イザベル・カレ)の実話を基にした感動のヒューマンドラマ。本国フランスでは長編映画初のバリアフリー上映が実施され、大きな反響を呼んだ。これについてアリアナは、「この映画は、どんな困難を抱えている人でも、平等にアクセスし、楽しむことができる可能性を示してくれた」と手話を通じて喜びを表した。
この作品で女優デビューを果たし初主演となったアリアナは、「わたしは、障害のある人たちが、閉じ込められた生活ではなく、もっと普通に人生を楽しめるような社会になればという活動家のような精神を持っています」と目を輝かせ、「今回、女優として作品に参加することは、少し勇気のいることでしたが、三重苦という障害を乗り越えていく物語ですから、わたしが日ごろ思っているメッセージを伝えることができたと思います」と自信をのぞかせた。
バリアフリー上映とは、目が不自由な人には音声による解説ナレーション、耳の聞こえが不自由な人には字幕を付けて上映されるものを指す。本作の日本公開では音声ガイダンス付きの上映を目標としており、クラウドファンディングでの製作費の一般公募を本日からスタートさせている。(取材:坂田正樹)
映画『奇跡のひと マリーとマルグリット』は6月6日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開
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