◎地域住民も集う場に/市の補助終了運営に課題
身寄りを突然亡くしたり、施設が閉鎖して行き場がなくなったりした要支援者らを緊急的に受け入れている民間施設が仙台市青葉区にある。地域住民の交流の場にもなっている「国見・千代田のより処『ひなたぼっこ』」だ。介護保険法や障害者総合支援法に基づく指定事業所ではないが、公的機関からの紹介が多く、制度で救えない人の安全網を担っている。一方で、国の緊急雇用対策費を原資とした市の補助金が本年度で終了することが決まっており、公的制度の枠外にある施設ゆえの課題が見えてきている。(生活文化部・安達孝太郎)
<ほぼ満室状態>
施設は2009年度、仙台市の「全国コミュニティライフサポートセンター」(CLC)が、補助金を活用して開設した。CLCは、誰もが地域で自分らしく暮らすことを目指すNPO法人だ。下宿だった施設を借り、食堂などを開いて住民が集う場をつくった。同時に、頼る人がなく行き場を失った人の緊急避難の場として宿泊機能も設けた。
13年度までの緊急受け入れ数は55件で、平均滞在期間は2カ月だった。知的障害があるのに、障害者手帳を持っていないなどの理由で、公的制度での支援が難しい人も多かった。地域包括支援センターが窓口になったのが約4割、区役所が約3割で、市全域から受け入れている。8部屋は、ほぼ満室状態だ。
介護保険事業所などになると、制度に則した支援が中心になるが、制度外にあるひなたぼっこは柔軟性が特徴だ。ある地域包括支援センターのスタッフは「要支援者の行き場を見つけられない時などに、心強い存在」と話す。
ただ、補助金の終了で、行政の支援を得にくいという制度外の施設の現実が見えてきた。補助金は、市経済局が窓口になり昨年度は約2000万円だった。施設利用料など収入約1400万円と合わせた額で、介護福祉士、調理師ら15人前後の人件費などを賄っている。
必要性は認識
経済局から担当を引き継ぐ福祉局の幹部は「既存の制度に乗っていない事業への補助は難しい」と説明する。ただ、施設の必要性は認めており、「関係課で知恵を出し合い、公的制度を生かせる方法を提案したい」と話す。
いずれにせよ、新年度は補助金なしでスタートする。事業縮小も検討されているが、CLCの池田昌弘理事長は「ニーズは確実にある。これまで通りのサービスを続けたい」と話す。
地域福祉に詳しい仙台白百合女子大の大坂純教授は「高齢者らを地域で支えるという国の方針を先取りしながら、制度内で活動している施設よりも臨機応変にケアを行っている。市は部署ごとではなく、街づくりを含めた大きな視点で考えるべきだ」と指摘している。
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