開腹手術に比べ体の負担が軽く胃の大きさや働きを残せる内視鏡治療。最近、必ず手術だったケースでも内視鏡治療が可能なケースも。内視鏡治療を選択できる条件などを紹介。
1.内視鏡治療ができる場合
胃がんの治療法には、内視鏡治療、手術、化学療法の3つがあります。内視鏡治療は、口から挿入した内視鏡を使い、カメラで胃の中を映し出しながら、内視鏡の先端から器具を出し、がんのできている粘膜を切除する方法です。外科治療に比べて体への負担が軽く、胃の大きさや機能が保たれるのが特徴です。
胃がんは粘膜の表面に発生し、粘膜下層、筋層、しょう膜と、胃壁の深い方へ向かって増殖していきます。深くなるほど転移が起きやすく、がんが粘膜下層にわずかに入り込んでいる場合までを早期がん、筋層に達している場合には進行がんと呼びます。内視鏡治療は、転移がない早期がんの場合に可能です。胃がんの治療ガイドラインでは、内視鏡治療が推奨されるのは、「粘膜内にとどまっている」「大きさが2cm以内」「がん細胞の性質がおとなしい」「潰瘍[かいよう]がない」という条件がそろった場合とされています。
2.内視鏡治療の方法
内視鏡治療には、EMR(内視鏡的粘膜切除術)と、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という2つの方法があります。EMRは、がんのある部位の粘膜下層に生理食塩水などを注入して隆起させ、ワイヤーをかけて高周波電流で焼き切る方法です。ESDは、同様にがんを含めた周辺部分を隆起させ、電気メスでがんとその周囲の粘膜と粘膜下層を広く剥ぎ取る方法です。最近はESDが主流になってきています。
ESDは広い範囲を切除できるため、1cmを超えるがんでは、ESDのほうがEMRよりとり残しが少なく、安全であるとされています。また、条件が整えば、大きさが2cm以上でも治療が可能になります。
☆ 治療を選択するポイントについては、
きょうの健康テキスト 2月号に詳しく掲載てされます。
※2015年2月現在の情報です。
NHK「きょうの健康」2015年2月3日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20150203-h-001.html