寒い日が続く。元気なシニア世代でも、「スポーツは春までお休み」にしている人が多いだろう。
だが、冬の間、運動しないでいると、体は想像以上に動かなくなり、スポーツを再開した時にけがをする恐れがある。自宅でできる、簡単エクササイズを紹介する。
「冬の間、こたつに入って全く運動しないでいると、筋肉が縮んで硬くなり、関節も動きにくくなる。高齢者の場合、筋力が1割も低下することがある」
中高年の健康に詳しい筑波大教授の田中喜代次さんはこう話す。テニスやゴルフなどのスポーツをする元気な人でも、家に閉じこもっていると筋力は落ちてしまい、再開した時にけがをしやすい。
各地の高齢者向け運動教室で指導員を務める、健康運動指導士の大月直美さんは、「春になるまで、毎日、自宅で簡単なエクササイズを続けてみては」と勧める。エクササイズのポイントは、「緩める」と「伸ばす」。
関節の周りの筋肉を「緩める」エクササイズから(イラスト参照)。
〈1〉あおむけに寝て、かかとを床につけたまま足先をくるくる回したり、腰を左右に振ったりする。
〈2〉うつぶせに寝て、片方の膝から先をくるくる回す。もう片方も同じように回す。
〈3〉横向きに寝て、両腕を床上と斜め上方に、それぞれ伸ばす(腕は開けるだけ開く)。斜め上の腕を床の腕に近づけるように閉じたり、開いたりする。体の向きを変えて同様に繰り返す。
〈4〉直立した状態から、首、背中、腰を順に曲げ、前かがみになっていく(背骨を徐々に曲げていくようなイメージでゆっくりと)。上半身がだらりと垂れ下がったら、今度は逆の動きで上体を少しずつ起こしていく。
〈1〉~〈4〉のエクササイズは、いずれも余計な力を抜いて行うこと。
「体が軽くなった」「関節を動かしやすくなった」といった感覚が得られたら、次は「伸ばす」エクササイズを(イラスト参照)。
〈5〉背中や太ももの裏側を伸ばす。足先をつかんで座り、おなかと太ももを密着させる。息をしながら、足をできるだけ前方に伸ばす。
〈6〉壁を使って、ふくらはぎも伸ばす。片方の膝を軽く曲げ、もう片方の脚は後ろに引く。壁に両手をついて、ふくらはぎを伸ばす。この時、尻を後ろに突き出さないことが大切。
エクササイズは、合計で10分以上行うのが目安。日中の暖かい時間帯にするのがお勧めだ。朝起きてすぐは寒く、体もまだ硬い状態なので避ける。無理はせず、痛みを感じたらすぐに中止すること。
「筋力が衰えた」と感じる人は、さらに「鍛える」エクササイズに挑戦してもいい。大月さんが提案するのは、スクワットや積極的に歩くこと。衰えやすい筋肉は、太ももやおなかだからだ。
大月さんは、「エクササイズをしながら、自分の体の状態をよく知ろう。スポーツを再開した時に、けがをしにくくなる」と話す。
(2015年2月13日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=112044