経済同友会の長谷川閑史代表幹事らは29日、東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)を視察した。長谷川代表幹事は福島第1原発事故などを教訓とした安全対策や経営努力に一定の評価を示し、「新規制基準の審査をクリアし地元住民との間に信頼感が醸成されれば再稼働を考えてもいい」と述べた。また、東電の広瀬直己社長に「再稼働の遅れに伴う電気料金上昇が産業界の重荷となっている。低廉な電力の安定供給で先頭を切ってほしい」と要請した。
長谷川氏の視察は5年ぶりで、同友会の訪問も東日本大震災以来初めて。
同友会から19人が参加し、東電から柏崎刈羽原発の現況について説明を受け、所内を視察した。原子炉建屋では、炉上層部や使用済み燃料プールを視察したり、原子炉建屋内に漏れ出た水素の濃度を下げ爆発を防ぐ水素処理設備を見学したりした。
免震重要棟では、同原発職員約160人による訓練も視察した。
台風による落雷で柏崎刈羽原発の送電線損傷を想定した訓練では、原子炉に冷却水を送るため、高台にあるガスタービン発電機車を代替電源とする操作指示などを確認した。
視察後、長谷川氏は、原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査を「何とかパスする状況になるのではないかと期待している」と強調。エネルギーコスト上昇が国内産業の競争力を阻害する影響や地球温暖化防止などを考慮する必要性を説いた。
電源構成の最適比率「ベストミックス」については「相当期間、一定の電源の役割を果たすべきだ」と原発の必要性を強調した。
一方、再稼働の前提条件として「住民や自治体との信頼関係を築き安心感を醸成すべきだ」として、実効性のある避難計画作成や訓練を、国が全面的に支援すべきだと述べた。
広瀬社長は福島事故の総括と検証を指摘する声について「事故が二度と起きないように対策を取ってきた。県の技術委員会で約550の質問をもらっている。足らない部分はしっかりと応えたい」と信頼回復と安全対策に努めるとともに、経済団体以外にも広く説明責任を果たしたいと述べた。
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