「ひきこもり交流研修会」が26日、那覇市首里石嶺町の県総合福祉センターで開かれた。家族や当事者を支援する「NPOなでしこの会」(愛知県)理事長の大脇正徳さんが講演し、約50人が耳を傾けた。大脇さんは引きこもる人の社会復帰を支援するためには、当事者が通える居場所や、親同士が悩みを共有し、支え合う親の会活動の大切さを説いた。
大脇さんは4月から始まり、福祉事務所を設置する市町村などが実施主体となる「生活困窮者自立支援事業」の中に、引きこもり支援を組み込むよう要望した。研修会は、NPO法人全国引きこもりKHJ親の会が主催し、KHJ沖縄「てぃんさぐぬ花の会」が共催した。
大脇さんは障がいがあり、過去に自宅に引きこもっていた娘と向き合った経験を語り「この子が勉強になる経験を与えてくれたから、親として成長できた」と振り返った。親の心構えとして「夫婦が子どもへの理解と配慮を共有することが大切」と説いた。
その上で「本人が自分を一番恥じているから、安心して過ごせる家庭環境にして、本人の存在を認め、信頼関係を築いてほしい」と呼び掛けた。親子のコミュニケーションを図る方法として(1)家族間のあいさつ(2)庭の手入れなどできそうなことを頼む(3)相談に乗ってもらう(4)コンサートや野球観戦、食事などに誘う―などを紹介した。
名古屋市など愛知県内に設け、昼食会や上映会、パソコン教室などを催している同会の居場所も紹介。「仲間同士の活動を通して、自分を受け入れ認めてくれる人と出会える。居場所が社会参加の一歩になる」と語った。
研修会では、居場所スタッフを務める42歳の男性も登壇した。小中高校時代にいじめに遭い、就職後は人間関係に悩んで離職し、20代後半から30代にかけて5~6年間、引きこもった体験を語った。「何やっているの」と畳み掛けるような祖父母や親戚の言葉をプレッシャーに感じながらも、外出ができずもがいた日々を振り返った。
両親に誘われ、なでしこの会が運営する居場所に足を運ぶようになり、社会と接点を持つようになったと振り返る。同じ境遇の仲間と出会い「自分一人が悩んでいるわけじゃない」と実感を込めた。お菓子づくりが趣味で、家庭や居場所で菓子を振る舞っている様子も紹介し「特技を生かして周囲と良好な関係を築いている」と笑顔で話した。
琉球新報社
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