2014年に全国の警察が把握した特殊詐欺の被害総額は559億4354万円に上り、前年より約70億円(14%)増えたことが29日、警察庁のまとめで分かった。5年連続で増加し、過去最悪を更新。04年に統計を始めてから初めて500億円を超えた。被害者の8割が高齢者だった。
強盗や横領などを含めた14年の現金被害(約1130億円)のほぼ半分を占め、次に多い窃盗の3.2倍に上った。警察庁は「極めて深刻な事態だ」と危機感を強めている。
また、金融機関や宅配業者、タクシー運転手らが詐欺を見破り、阻止された被害額は296億円余りで、103億円(53%)増えて過去最高となった。こうした潜在的な被害も合わせると、855億円分の事件が発生したことになる。
最も被害が大きかったのは、金融商品に絡む詐欺の約195億円だった。架空の投資話を持ちかけたり名義貸しを口実に脅したりする手口で、前年より2億円減少。次いで、子や孫を装った電話で「会社の金をなくした」と助けを求める「おれおれ詐欺」が3億円増の174億円だった。
犯行グループが現金を受け取る手段は、宅配便やレターパックを使う「送付型」が激増。被害は81億円増の212億円となった。最多は「手渡し型」の236億円だが6億円減少。「振り込み型」は107億円で4億円減った。
被害者の79%を65歳以上が占めた。割合は3年前から16ポイント上昇。特に、おれおれ詐欺と金融商品に絡む詐欺、「還付金詐欺」では9割前後に達しており、警察庁はこの3類型に捜査と予防の重点を置くことにした。
摘発人数は216人(12%)増の1990人で、最多を更新した。ただ、62%は現金の受け取り役や見張り役など組織の末端で、首謀者クラスは4%にとどまった。暴力団関係者は189人増の689人、未成年者は31人増の348人。犯行拠点は17カ所増の41カ所を摘発した。
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