三重県は、不妊治療の一つで、保険診療の対象外となっている人工授精について、助成事業を実施している市町を財政支援する制度を、新年度から導入する方針を決めた。
現行の助成事業を後押しするとともに、他の市町にも事業を拡大するねらいがある。
県健康福祉部によると、県内で現在、人工授精の助成事業を導入しているのは、津市と四日市市、伊勢市、鈴鹿市、亀山市、鳥羽市、志摩市、東員町の8市町。不妊に悩む夫婦を対象に、1回約2万円とされる人工授精費用を半額から全額助成している。
新たな制度では、各市町が所得計400万円未満の夫婦に人工授精費用を助成した場合、1夫婦あたり年間最大1万円分(最長で通算5年間)を自治体側に補助する。新年度当初予算案には関連予算約100万円が計上される見通し。
不妊治療は、排卵日の予測や排卵誘発剤の使用、人工授精、体外受精・顕微授精と、大きく分けて3段階あるが、保険適用は排卵日の予測などの第1段階のみ。人工授精は治療が複数回になるケースもあり、経済的な負担が大きいとされる。
県によると、都道府県で人工授精の助成制度を導入しているのは9府県(昨年4月現在)で、県内の市町では2013年度、少なくとも約70件の助成実績があったという。
県は、男性の不妊治療や、妊娠しても流産や死産を繰り返す不育症治療などへの助成も実施しており、これらの助成と併せて総合的に支援していく考えだ。
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