年末の大掃除で、浴室のカビ取りをする家庭も多いだろう。実は壁や床だけではなく、天井にもカビが潜んでいる。ただ、根は深くないので、この機会に天井のカビも一掃したい。
民間研究機関の「衛生微生物研究センター」(東京都)とライオン・リビングケア研究所(同)は、首都圏の一般家庭25軒で、浴室の天井84か所を調べた。
その結果、肉眼では36%の場所しか黒カビなどが見つからなかったが、顕微鏡で観察したところ、壁や床と同程度の84%で菌が確認された。衛生微生物研究センター所長の李憲俊さんは「浴室の天井には湿度や温度のほか、湯気で皮脂の成分などカビの養分も供給され、発生条件がそろっている」と分析している。
また、天井のカビは、菌糸はあまり伸ばさないため目に付きにくいが、汚染を広げる胞子が多いという特徴があった。李さんは「気づかない家庭も多いが、天井から胞子が降り、換気扇などの空気の流れに乗って胞子が飛散するので、注意が必要」と話す。
ただ、天井のカビは、壁や床に比べ深く根を張れないことが多く、除去そのものは難しくない。都内で掃除のコツを教えている「エグゼカレッジ」代表理事の高橋和子さんに話を聞いた。
高橋さんが使うのは、風呂用の洗剤と、天井に届く長さのモップだ。「強力な洗剤を頭の上で使うのは危険。普通の洗剤で十分です」と高橋さん。モップはクロス部分が取り換えられるタイプがお薦めで、クロスは2枚用意する。
まず1枚目のクロスに洗剤を染みこませ、よく絞ってモップに付けて天井を拭く。次にクロスを水洗いしてから天井を水拭き。最後に2枚目に付け替え、カビが発生しないようから拭きする。高橋さんは「壁や床も掃除するときは、高いところから取りかかると、効率的に掃除ができます」とアドバイスしている。
(2014年12月24日 読売新聞)
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