デザインや色の識別が難しく、洋服選びを家族の手に委ねざるを得ない視覚障害者。「それでも私らしいおしゃれを楽しみたい」と若者たちは模索している。静岡県視覚障害者協会青年部は11月下旬、初の「おしゃれ講座」を静岡市内で開いた。自分の骨格の特徴に合うスタイルと、肌に合うカラーを知れば、似合う服に出合える―。参加者は、目が不自由でも可能なおしゃれに挑戦した。
「あなたには襟回りにフリルのない、こういうシンプルなジャケットがお似合いです」。講師の野村貴美さん(51)=東京都=はそう言って、持参した上着の一つをあん摩マッサージ指圧師小長谷唯織(いおり)さん(24)=焼津市=の腕に通した。「すてき」。スタッフから感嘆の声が上がると、小長谷さんの表情が華やいだ。
全盲の小長谷さんは祖母と服を買いに行くことが多い。祖母は「似合う」と褒めた服が、友人からは「地味」と指摘されたことも。「誰が見ても似合う格好をしたい」と、参加した。
骨格スタイル協会認定骨格スタイルアドバイザーの野村さんは、参加者の肩甲骨や鎖骨、膝などに触れ、骨格の特徴から3タイプに分類。それぞれのタイプに合う服のデザイン、素材、着丈、ヘアスタイルを紹介した。
パーソナルカラー診断士の資格も持つ野村さんは「肌の色と質感によって似合う色が違う」と話し、「実際に複数の色の布を当て、顔映りを診断士などに見てもらうといい。似合う色が分かれば、服を選ぶとき店員に色見本のカードを見せたり色の番号を伝えたりして」と助言。装いに花を添えるストールの巻き方も指南した。
おしゃれのヒントを得た参加者は「友だちと出掛ける時に役立ちそう」と浮き立った。小長谷さんは「自分で服を選ぶことを楽しめるようになりたい」と喜んだ。
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