57人が死亡、6人が行方不明となった御嶽山(おんたけさん、長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火で、信州大の浅村英樹教授(法医学)は、長野県警の依頼で40人の死体検案を統括した。半数以上が頭に噴石を受けた痕があり、約9割が即死とみられることが分かった。
浅村教授によると、致命的な外傷が複数ある「多発外傷」と、頭にのみ致命傷がある「頭蓋(ずがい)内損傷」などが大半を占めた。後頭部や首の後ろに外傷が集中し、逃げようとして噴石を受けたと推察された。
頭を守った際にできたと思われる手の甲の傷も多くあった。即死でない数人は胃や気道の内視鏡検査で外傷によるショック死や気道熱傷死と判断された。死因が有毒ガスの人はいなかった。
浅村教授は「噴石の衝撃が極めて強かった。火口からの距離と傷の状況を分析し、将来の噴火対策に役立ててほしい」と話す。(岡崎明子)
■「無数の小さな噴石、銃弾のように」
亡くなった57人について、警察は55人が損傷死、1人が熱傷死、1人が死因不詳としている。
警察関係者によると、55人の中には、大きな噴石が頭や首に当たったことが致命傷となった人のほか、小さな噴石で体中に多数の傷を負った人もいた。警察幹部は「無数の小さな噴石が銃弾のように飛び交った状況がうかがえる」とみる。背後から噴石を受けた人が多いのも特徴だという。
山小屋の軒下や岩陰で見つかった人もいる。一方で、山頂付近の山小屋は屋根を噴石に貫かれたが、これによる死者は確認されていない。山小屋内で1人亡くなっていたが、外で受傷した後に逃げ込んだとみられるという。
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