柔軟仕上げ剤は、衣類をソフトに保ち、傷んだ繊維を柔らかくすることをうたったものです。10数年前までは、部屋干しのにおいや汗のにおいなどを抑えるため、微香タイプの柔軟仕上げ剤が主流でしたが、2000年代後半から香りの強い海外製の柔軟仕上げ剤がブームとなったのをきっかけに、現在は、芳香性を工夫した商品の品ぞろえが広がっています。
一方で、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられる「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談件数が増加傾向にあります。そこで、収集した相談内容を分析し、情報提供することとしました。
相談の概要
- PIO-NETに寄せられた「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談件数は、2008年度は14件でしたが、2012年度は65件となり急増しています(注1)。春から秋にかけて、相談者が使用したものでない、隣家などの他人が使用した柔軟仕上げ剤のにおいについての相談が多く寄せられています。
- 「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談187件のうち、危害情報(注2)は61%(115件)で、2008年度は3件でしたが、2012年度には41件となり、急増しています。危害情報の内訳をみると、被害者の性別・年代は、30歳代~50歳代の女性が70%、被害にあった場所は、「家庭」が92%を占めています。
- (注1)2008年度以降受付、2013年8月31日までの登録分。
- (注2)「危害情報」とは、商品・役務・設備に関して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという相談のことです。
危害に関する主な相談事例
- 【事例】
- 柔軟仕上げ剤を使用し、室内干ししたところ、においがきつく、妻と2人ともせきが出るようになった。柔軟仕上げ剤を使用したタオルで顔を拭くとせきが止まらなくなった。メーカーに連絡すると、柔軟仕上げ剤を持参して医師の診察を受けるように言われたのでそのとおりにした。2人共アレルギーの反応が低かったため、原因不明とのことで、複数の薬を処方してもらった。
- 【事例】
- 隣人の洗濯物のにおいがきつ過ぎて頭痛や吐き気があり、窓を開けられなく換気扇も回せない。柔軟仕上げ剤のにおいではないかと思う。医師の診察は受けていないが、家族3人全員同じような症状で今まで特定の物質にアレルギーがあると言われたことはない。
消費者へのアドバイス
- 自分がにおいに敏感な場合は、商品を選択する際に、商品の表示等に記載された芳香の強さ等を参考にしましょう。
- 自分にとっては快適なにおいでも、他人は不快に感じることもあるということを認識しておきましょう。
業界・輸入事業者への要望
においが与える周囲への影響について配慮を促す取り組みを行うよう要望します。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20130919_1.html