食事をほとんどとらなくなってしまう「拒食症」と診断された子どもの8割が治療を受けていないことが厚生労働省の研究班の調査で分かりました。厚生労働省は治療を重点的に行う拠点病院を設け診療体制の整備を進めていくことにしています。
食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症などの摂食障害は、「やせたい」というこだわりやストレ スが引き起こす病気です。栄養が足りなくなり適切な治療を受けなければ死に至るおそれもありますが、患者本人や家族に病気の自覚がなかったり治療を拒否し たりするケースが多いと指摘されています。
厚生労働省の研究班が昨年度、広島県内の小学4年生から高校3年生までのおよそ6万8000人を対象に 調査を行ったところ、拒食症と診断された児童・生徒は91人で、このうち最も多かったのは高校1年生の女子生徒の16人で学年全体の0.6%を占めていた ということです。拒食症と診断された子どものうち2割は継続的に治療を受けていましたが、8割は治療を受けていなかったということです。
その理由について学校の養護教諭に尋ねたところ、「病気について保護者の理解を得るのが難しい」とか、「どこで受診すればよいのか分からない」といった意見が挙げられたということです。
厚 生労働省は、今年度から治療を重点的に行う拠点病院を全国に5か所程度設け、診療体制の整備を進めていくことにしています。調査を行った厚生労働省の研究 班のメンバーで広島大学の岡本百合准教授は「やせていることがいいことだという社会では今後ますます患者が増えるおそれがある。いち早く適切な治療につな げる必要がある」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140920/t10014752951000.html