[ カテゴリー:子ども ]

2学期始動 どう守る、共働き家庭の子どもの安全

連れ去り事件など子どもを狙った犯罪が目立ち、親たちが不安を募らせている。とりわけ共働き家庭は子が一人になる場面が多く、心配は尽きない。日暮れが早くなる2学期は、子が通学に慣れ防犯意識が緩みがちでもある。子を守るため、どう備えればよいのか。

鍵メーカーの美和ロックが開いた子ども向けの防犯教室(岩手県滝沢市)

鍵メーカーの美和ロックが開いた子ども向けの防犯教室(岩手県滝沢市)

平日の夕方、会社員の片山美子さん(仮名、47)の携帯電話に、小学4年の娘が電話をかけてきた。とにかく泣きじゃくっている。

聞けば、下校途中に「A駅まで一緒に行かないか」と男性が声をかけてきたという。A駅は最寄り駅ではなく、娘が通う音楽教室がある。「もしかして私を知っているの」。娘は逃げて家に駆け込み、電話してきたのだ。

片山さんは即座に近所の友人に連絡。娘を預かってもらったが、勤務中で駆けつけられない自分を責めた。「仕事を続ける上で、今は娘の安全が一番の心配ごと」と悩む。

警察白書によると、殺人や強姦、強制わいせつなど13歳未満の子が犯罪被害にあった件数は、2013年で2万6939件。04年以降は減少傾向だったが 13年は前年比で5%増えた。今年も子どもの連れ去りが相次いでいる。仕事で不在の時、帰宅し留守番する子をどう守るか、親の悩みは深い。

「息子が家の鍵を見せびらかしていたと聞きぞっとした」。会社員の瀬川香さん(仮名、38)は振り返る。小1の息子が学童保育から帰り、留守番した時のこと。公園で「鍵を持っているんだ」と友達に見せていたのだ。一人で留守番をしていることが一目でわかってしまう。

不安を解消するには、子に防犯の意識を持たせることが重要。試みは広がっている。

「イケメンで優しそうな知らないお兄さん。ついていっていいですか」。鍵メーカーの美和ロック(東京・港)は保育園や小学校などを対象に、防犯教室を開い ている。防犯知識をクイズで教えたり、施錠の大切さを紙芝居で説いたりしている。教室は11年に始め、年7、8回のペースで開催。8月には紙芝居の内容を 防犯絵本「おウチをまもれ! ロックとキーチャ」にまとめ、首都圏の公立図書館約750館に寄贈した。

紙芝居や絵本では「鍵は人に見せない」「帰宅したら誰もいなくても『ただいま』と言う」など、留守番をする子ども向けの注意点を多く盛り込んだ。「共働きが増え、一人で家で過ごす子の啓発活動が必要と考えた」(同社)

防犯パトロールや防犯マップづくりなど、地域ぐるみで子どもを守ろうとの機運も高まっている。大阪府箕面市は市立の小中学校の全通学路に防犯カメラを設置する予定だ。約70メートルおきにカメラを備え付け、死角をなくす。

親が働きながらできることもたくさんある。「子どもが犯罪に遭うのは一人のときが圧倒的に多い」と指摘するのは、安全生活アドバイザーの佐伯幸子さん。共 働きの場合、まず、家に子どもが一人でいるのをさとられないようにする。妻が多忙時は夫が迎えに行くなど、子どもが一人になる時間を極力なくすことも大事 だという。加えて、家庭での防犯教育の大切さを説く。特に勧めるのが「我が子の弱点を知ること」だ。

佐伯さんによると、悪意ある人が子を 誘い出す言葉にはパターンがある。「○○をあげるからおいで」とモノで釣る賄賂型、「ボクの犬知らない? 一緒に探して」といった直接要求型などだ。我が 子がゲーム好きなら「新しいソフトを一緒にやろう」との誘い文句に乗るかもしれない。「どんな言葉や場面に弱いかを把握し、我が子にあったオーダーメード の対策を練るとよい」(佐伯さん)

最近は多くの小学生が防犯ブザーを持つ。しかし「ブザーがあるからと安心してしまう親は少なくない」と話すのは、セコムIS研究所の主務研究員、舟生岳夫さん。電池が切れていたり、手が届かない場所にぶらさげたりするなど、盲点はいくつもある。

警察や自治体が提供している不審者情報をメールで知らせる「防犯情報メール」への登録も、親がしておきたいことの一つと舟生さんは言う。漠然と「危ない人 に注意しなさい」と言っても子どもの心には響かない。メールでは、発生場所や不審者の特徴を詳細に知らせてくれるケースが多い。具体的事例を知れば、対策 も立てやすい。

舟生さんは、労働災害で用いられる確率論から、1件の子どもの連れ去りなど重大事件の裏には、不審者に遭遇するなどの小さ な事件が29件、ごみがあるなど意識しない異変が300件起きているとみる。「大事件と日常のささいな異変は密接につながっている。親子のコミュニケー ションを密にして、環境の変化を見逃さないでほしい」(舟生さん)

新学期を機に、家庭で防犯対策を点検しておこう。(編集委員 武類祥子)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFE05H0F_W4A900C1NNMP00/

Facebook にシェア
[`tweetmeme` not found]

コメントする

Facebook にシェア
[`tweetmeme` not found]

団体理念  │  活動展開  │  団体構成  │  定款  │  プライバシーの考え方  │  セキュリティについて  │  事業  │  メディア掲載  │  関連サイト  │  お問い合わせ

copyright © JMJP HOT TOWN Infomaition Inc. All Rights Reserved.   NPO法人 住民安全ネットワークジャパン

〒940-0082 新潟県長岡市千歳1-3-85 長岡防災シビックコア内 ながおか市民防災センター2F TEL:0258-39-1656 FAX:020-4662-2013 Email:info@jmjp.jp