経済情勢の悪化からか、保護者による児童への虐待事件が増加している。
去る5月31日、神奈川県厚木市で36歳の父親が育児放棄により、児童を自宅で死亡させていた事件が発覚した。
驚いたことに、児童が死亡したのは5歳ごろとされ、亡くなってから約7年間ご遺体が発見されなかったことになる。
この事件について、様々な批判が地方自治体や児童相談所に寄せられ、物議を醸した。このような事件が起きた一つの背景として、地方自治体と児童相談所が連携して、虐待されている児童を探す制度に漏れがあることがあげられる。
日本の法体系においては、家庭を一つの自治組織とみなし、あきらかに刑事罰が科せられるような法令違反が認められるか、裁判所の捜索令状が発行されない限り、公の存在が家庭内に立ち入ることが難しいからだ。
既に北九州市ほか日本各地で、臨検(実際に家庭内に立ち入って虐待の事実を確かめ、児童を保護すること)の演習が強化されているが、それでも虐待を受けている児童をすべて救済するのは困難を極めている。
周辺住民に課せられている通告の義務
平成12年に施行された「児童虐待の防止等に冠する法律」の第6条によれば、虐待を受けたと思われる児童を発見した場合は、市町村、都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならないと規定されている。
とはいえ核家族化が進み、近所づきあいが薄れた現在では、児童虐待の兆候を見つけることは難しい。
児童相談所や自治体は、些細な情報でも虐待に冠する情報を、匿名でも受け付けることを周知しているが、「もし、間違いで虐待ではなかったら?」というためらいを感じる人はいるものの、通報は増えているそうだ。
統計によると、2013年度に児童相談所が対応した虐待に関する案件は7万3765件。これまでの最多を更新したこととなる。
児童相談所へのホットラインを3桁の電話番号に
09年10月に開設された児童相談所へのホットライン(0570-064-000)には、13年度に1万7000件近くのの通報があったとされている。 ホットラインに電話すると、通報された管轄の児相に転送されるが「番号が長く覚えにくい」という指摘も多い。複数の地方自治体から、警察や消防のように、 通報の電話番号を3桁に統一してほしいという要望が寄せられていた。
厚生労働省は15年度内に、児童相談所へのホットラインについては、警察や消防と同じく3桁の電話番号に切り替えると発表。3桁化に伴って通報数の増加が考えられることから、厚生労働省は来年度、全国の児童相談所の非常勤職員の人件費助成についても増やす方針としている。
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