新潟県内の社会福祉協議会で、高齢者の日常的な身の回りの世話を行う有償ボランティア制度の導入が広がっている。買い物や掃除、ゴミ捨てなど、特に 技能を要しないサービスを提供する。子供が都市部へ移住し、単身や夫婦だけの高齢者世帯が増えてきたためだ。2015年8月からの介護保険制度変更で、こ うしたサービスへの需要が増えるとの声もある。
十日町市は10月1日から高齢者安心サービス事業を始める。利用できるのは65歳以上の一人暮らしの高齢者、または高齢者のみ世帯の市民だ。まず市役所に利用会員として登録し、実際に使う際には十日町市社会福祉協議会を通じて申し込む。
サービス内容は買い物、調理、草取り、掃除・洗濯、ゴミ捨てなど日常的な作業。15分あたり150円の利用料金で、1カ月ごとにまとめて社協に支払う。作 業を行うのはボランティア登録をした協力会員で、15分ごとに1ポイントをもらい、30ポイントで3000円相当のQUOカードを受け取る。
同市川西地区でNPO法人「ほほえみ」が行っている活動を市内全域に拡大する。ほほえみは10年度からこの有償サービスを行っているが、最近は需要が多く、対応が難しくなっているという。
7月から「ささえあい村上」を始めたのが村上市社会福祉協議会。こちらは高齢者以外も対象で、サービス料は30分200円。あらかじめチケットを購入して おき、利用会員はサービスを受けた時にチケットで協力会員に支払う。既に協力会員が15人、利用会員が6人いるという。
刈羽村社会福祉協議会も13年4月から同様の事業を行っている。こちらは30分100円で、謝礼は社協を通さず利用者とボランティア間で直接やりとりする。協力会員が15人、利用会員が13人おり、1人あたり月3回程度の利用がある。
新潟県内では長岡市社会福祉協議会が取り組んでいる「ボランティア銀行」のように、20年以上にわたって利用されている有償ボランティア制度もある。ただ最近は高齢者の増加もあり、県内全域で需要が増えている。
来年から介護保険制度のうち、食事や排せつはほとんど自分でできるが、身の回りの世話の一部に支援が必要な人などに対するサービスが市区町村に移る。制度 変更に伴い、高齢者が受けられなくなるサービスが出てくるかもしれないという懸念も、こうした動きの背景にあるという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO76352410Z20C14A8L21000/