水俣病問題の「最終解決」を目指した水俣病被害者救済法(特措法)にもとづく救済策で、環境省は29日、計3万2244人が一時金の支給を受ける対象になったと発表した。複数の症状の組み合わせが必要な国の認定基準で患者と認められない人向けの対策はこれで終結に向かう。
未認定患者を対象にした救済策は、2010年5月から受け付けを始め、12年7月末に締め切った。熊本、鹿児島、新潟3県の計4万7906人について判定を進めてきたが、国が全容を示すのは初めて。
熊本水俣病では対象は原則、不知火海沿岸の対象地域に居住歴があり、原因企業チッソがメチル水銀を含む排水を止めた翌年の1969年11月までに生まれた人。熊本、鹿児島両県では申請者中、一時金の支給対象になった人は7割に満たなかった。
対象者の内訳は、熊本県1万9306人、鹿児島県1万1127人、新潟県1811人。このほかに療養費のみの支給になった人が6千人余りいる。対象から外れた人は9649人だった。
水俣病をめぐっては、いまも1千人以上が公害健康被害補償法に基づく患者認定を求めているほか、今回の救済策の対象にならなかった人たちが各地で裁判を起こしている。(香取啓介)
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<水俣病被害者救済法> 2004年の最高裁判決が国の認定基準より幅広い救済を認めたことを受けて、未認定患者から救済を求める声が盛り上がり、超党派の議員立法で作られた。09年成立。単独の症状でも認め、認定患者への補償額(1500万~1800万円)より大幅に低い一時金(210万円)や療養費などを支給する。
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