【ママからのご相談】
年長さんの娘がいます。幼稚園でちょっと上手くできないことがあると、すぐに弱音を吐きます。いろいろなことに自信がないようです。例えば、「〇〇(自分 の名前)はお絵かきが下手なの」「ダンスがうまくできない」といった感じです。親から見ると、とりたてて下手なわけでもなく、普通レベルだと思います。 「そんなことないよ。上手に描けているよ」「上手に踊れているよ」などと返事をしても、むきになって、「ヘタなの。うまくできないの」と言い返してきま す。
どういう言葉をかければいいのか途方に暮れてしまいます。
●A. “気持ちを理解しようとしている”ということを示す言葉がけを!
ご相談ありがとうございます、フリーライターのパピルスです。
お子さんから、「〇〇ができない」「〇〇が苦手」こんな発言を聞くと、親としては心配になってしまいますよね。本当に全くできないならともかく、普通にで きているのにと思うと、自分に自信を持ってもらいたくて、「そんなことないよ」「〇〇ちゃんは絵が上手だよ」と励ましてしまうのが親心。
ところが、親がいくら、「そんなことないよ。上手だよ」と言っても子ども自身が聞き入れないということがよくあるようです。
では、どのように返事をしたらいいのでしょうか?
今回は世界中でロングベストセラーとなっている著作、『子どもの話にどんな返事をしてますか?』を参考にして考えてみたいと思います。
●子どもの自己イメージは、親の言葉で直接的に変えられるものではない
『子どもの話にどんな返事をしてますか?』では、親を悩ます様々な子どもの言動に対して、“なぜそういった言動をするのか”“それに対して親はどう対処するのがいいのか”が具体的に示されています。
その中で、今回のご相談のように“自分について否定的なことを言う子どもへの声かけ”のポイントは次のように述べられています。
『同意したり異議をはさんだりするより、理解していることを示す具体的な言葉をかけた方が好ましいことが多い』
例えば先ほどのご相談者様の例で言うと、「絵が上手に描けない」ということに対して、「そうね、上手じゃないね」と返す親はあまりいないでしょうが、「そ んなことないよ、上手だよ(意見の否定)」「もっと大きく描いてみたら(アドバイス)」などと言っても、子どもの助けにはならず、「もっとたくさん描けば 上手になるよ」という助言は子どもの自尊心を傷つけるおそれすらあるのだそうです。
●具体的にはどんな言い方をすればいい?
では、『理解をしていることを示す具体的な言葉』とはどういったものでしょうか? 同書で推奨されている言い方に置き換えてみると、次のようになります。
・「お絵かきは簡単じゃないよね」
・「お絵かきの時間がくると、早く終わらないかなって思うかもしれないね」
・「絵が下手だって誰かに言われるのが嫌なんじゃない?」
・「ママ達をがっかりさせるのが心配なのかな?」
・「〇〇(名前)が一生懸命描いてることはわかってるよ」
つまり、「あなたの気持ちをわかろうとしているよ」というメッセージを伝えることが大切なようですね。
考えてみると、大人同士(特に女性同士)では、頻繁にこういった“共感を示す返事”をしているように思います。“お絵かき”を“料理”に置き換えてみると わかりやすいですね。しかし、子ども相手となると、同じ視点に立って、「わかるわー!」と言ってあげることを忘れてしまいがちではないでしょうか?
まずは、子どもの気持ちを理解しようとしていることを示す言葉がけを十分にする。もしかしたら、そうしたやり取りの中で、「〇〇ちゃんに絵が下手だって言 われたの」「私の絵を見て笑う子がいるの」と打ち明けてくれるかもしれません。その際は、「そうだったの。それは嫌だったね」と受け止めてあげましょう。
それから、次のステップです。
●ママ自身がプラスに感じた点を伝えましょう!
・「ママはこの絵の女の子がかわいいと思うけどなぁ」
・「ここのピンク色がすごく丁寧に塗ってあるね!時間がかかったんじゃない?」
・「ママはこの絵が優しくて好きだなぁ」
といったように、“絵のいいと思った部分を具体的に褒める”と、心にスッと入りやすいようです。“娘さん自身を評価する”のではないことがポイントです。
そして、こういった会話の中から、「私の絵にもいい所があるんだな。もしかしたら下手じゃないのかもしれない」「ママが好きと言ってくれるなら、もっと描 いてみようかな」といった気持ちが自然と芽生えてくるのをじっと待つ。親にできるのは、娘さんに“自然と”自信が湧きでてくるのを待つことだそうです。
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「あなたの気持ちを理解しようとしているよ」というメッセージを送ること。そのことをちょっとだけ意識して対処してみてくださいね。
【参考文献】
・『子どもの話にどんな返事をしてますか? 親がこう答えれば、子どもは自分で考え始める』ハイム・G・ギノット(著)
(ライタープロフィール)
パピルス(フリーライター)/初めましてパピルスです。23歳で結婚して転勤族の妻、いわゆる「転妻」に。以来関東、関西、四国を平均2年毎に転々とする 引越生活に突入。途中、夫の長期出張に帯同し、乳飲み子を抱え3か月毎にウィークリーマンションを転々とする日々も1年間経験。独身時代からの引越と長期 滞在を合わせると、10都道府県、13市町村に居住。引越は合計8回に。自身の引越経験を元に、引越準備や引っ越し後の生活の作り方、人間関係、親子関係 などを中心に執筆活動中。1児(男の子)の母。
http://news.ameba.jp/20140826-601/