上半身のバランスをとるのに重要な役割を果たしているのが「肩甲骨」です。しかし、背中にあるだけに、自分でコントロールするのは難しく、猫背などによって正しい位置からずれて、「腰痛」「肩こり」そして「頭痛」などの原因となることがあります。そこで今回は、さまざまな不調の原因となる「肩甲骨のずれ」を撃退するスゴ技を紹介しました。
また、肩甲骨をうまく使うと女子力UPにも役立ちます。優雅な動きができるようになったり、スッキリ・若々しい背中を手に入れたりできるのです。
■肩甲骨の仕組み
肩甲骨は、背中の両側にある大きな三角形の骨。ろっ骨に張り付いているように見えますが、実際、骨でつながっているのは鎖骨だけ。あとは、背中の筋肉や胸の筋肉に支えられている不安定な骨です。
そのため、肩甲骨周辺の筋肉がかたくなると、肩甲骨が正しい位置からずれることがあります。
■肩甲骨の位置のずれによる体の不調
肩甲骨がずれると首・肩や背中の凝り、そして、頭痛まで引き起こすことがあります。改善するためには、肩甲骨周辺のかたくなった筋肉をほぐすストレッチが有効です。
※手にしびれを感じる人や、激しい頭痛のある人は、ストレッチは行わず、医師にご相談ください。また、ストレッチをしていて、しびれを感じたり、痛みを感じた場合は、ストレッチを中止してください。
肩甲骨の位置をなおす ステップ1 背骨を整える
肩甲骨の位置のズレをなおしにくくしている背骨を柔らかくします。
・用意するもの タオル
タオルをゆるまないようにしっかり巻きます。太さの目安は、握り締めた状態で手首くらいです。
タオルを背中に対して横に置き、その上に仰向きになります。あてる場所は、脇の下から、胸の肋骨のでっぱった所までの間(胸の部分の背骨「胸椎」の部分)です。
呼吸は深くゆっくりと行い、腕は軽く開き、肩の力を抜きます。
1~2分間ほどしたら、タオルを当てる位置をおよそ3cmずつ動かします。
このとき、タオルではなく腰の位置を動かすと、タオルがゆがまず、意図する背骨の場所に当てることが出来ます。
※体が沈み込まない、畳や薄手のマットで行ってください。
肩甲骨の位置をなおす ステップ2 胸の筋肉を柔らかく
肩甲骨を前に引っ張る胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)をほぐします。
【胸のストレッチ 】
イスに座り、腰を反らさず、あごを引きます。
息を吐きながら、手のひらを前に向けます。
この時、肩甲骨を寄せて少し下げるように意識します。
その状態で3~5秒キープ。1日10~20回が目安です。
【胸のストレッチ 】
壁やドアに、肩の高さになるように手を置きます。
置いた手と逆側の足を前に出します。
前に出した足に体重を移動させて、胸の筋肉を伸ばします。
この時、肩甲骨を寄せるように意識して、30秒キープ。
左右3回行います。
肩甲骨の位置をなおす ステップ3 背中の筋肉をエクササイズ
肩甲骨周辺の背中の筋肉を鍛えます。
【背中のストレッチ 】
1.手と膝を床につき、ひじを曲げないようにしながら、重力を利用して、胸を反ります。このとき、息は吸いながら、肩甲骨を寄せるように意識して行います。
頭は少し上を向くようにします。
2.次に、息を吐き、肩甲骨を開くように意識しながら、背中を丸めます。
頭はへそを見るようにします。
3.丸めて反る動作を1回として、10回で1セット。1日2セットが目標です。
【背中のストレッチ 】
手と膝を床についたのち、片手を床から離し、頭の後ろに置きます。
肩甲骨を寄せながら、上半身をねじり、横を向きます。
呼吸は浅く続けます。
左右10回で1セット、1日2セットが目標です。
日常生活で背中美人
足先から髪の毛まで、全身のパーツモデルとして活躍する上口香寿美さんは、背中を美しく見せるため、肩甲骨を家事の合間に動かすように意識しています。
【食器洗いの合間に】
腰をかがめたり、首が前に出たりする姿勢の時は、首や肩、背中が凝りやすいため、時々、背中を伸ばし、肩だけを回すようにしています。
この時、肩甲骨を寄せるようにするのがポイントです。
【パソコン作業の合間に】
1.耳の横で腕を上げたり、ひじをおろしたりします。
この時、手のひらは前側ではなく内側に向けて、肩に負担をかけないようにします。
2.抱っこするように前側で手を組み、左右に腕を引っ張るストレッチ。
手だけを引っ張るのではなく、深呼吸しながら、肩甲骨の内側を伸ばすイメージで行います。
日常生活で背中美人
理学療法士の山口光國さんは、日常生活のなかで肩甲骨を動かすことを勧めています。筋肉はこまめに動かすことで柔らかさを保てるためです。また、肩甲骨を使うと、全身のバランスが取れた動きになるため、腰痛などが起こりにくくなります。さらに、全身運動にもつながるので代謝アップも期待できるうえ、美しく、若々しい所作にもなるといいます。
【ものを拾う動作】
肩甲骨は動かさないように意識しながら、拾います。
立ち上がる時は、肩甲骨から上に持ち上げて、体を戻すようにします。
【掃除機をかける動作】
掃除機のホースを引く時は、へそを正面にむけ、肩甲骨を引き寄せながら、腕をまっすぐ後ろに動かします。
肩が上がって体が傾かないように注意。手を前に出す時も、おへそが正面を向いたまま保つようにします。
番組およびこのページは特定の製品・店舗を推奨するものではありません。
製品・サービスの特性や使用上の制限、契約内容・条件などについては、各自におかれまして、メーカーや販売会社に十分ご確認ください。
NHK「あさイチ」2013年7月9日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/asaichi/life/asaichi-20130625-a-001.html