体内の睡眠リズムが狂ってしまう子どもが増えている
「睡 眠リズム障害」は、体内の睡眠リズムが狂ってしまい、生活全般に影響を与え、自分では修正できない状態のことをいいます。この症状が長期間続くと、睡眠治 療認定医の検査と治療が必要になりますが、最近こうした 症状の子どもが増えているとのことです。子どもたちは夏休みに入ると起床時間が遅くなり、食事も不規則で生活習慣が大きく乱れ、リズム障害の予備軍になり やすいといえます。
睡眠リズム障害にはいくつか種類があり、代表的なものは下記の三つです。
①睡眠相後退症候群(眠りたいのに眠れない。就寝が遅くなり朝起きられない)
②睡眠相前進症候群(早い時間から寝てしまい、早くに目が覚めてその後は眠れない)
③非24時間睡眠覚醒症候群(寝付きにくく起きづらく、毎日寝る時間が遅れていく)
血圧、体温、ホルモンの分泌などと同様に、睡眠にも一定のリズムがあります。朝の光を浴びて16時間後に眠気を起こさせるメラトニンが分泌を始め、深夜2時に最も強い眠気、午後2時に2番目に強い眠気が訪れるのも、体内リズムからきています。
子どもの睡眠劣化は成人以上に過密なスケジュールが原因
現在、こうした症状を自覚し、既に睡眠障害だと思い込んでいる子どもも少なくありませんが、ほとんどが単に睡眠不足(量的)からきた症状です。しか し、子どもたちは親に相談しても「早く寝なさい」「やる気が足りない」で一蹴され、一人で悩んでいる場合が非常に多い状況です。大人に必要な睡眠時間は 6~7時間と言われていますが、それを子どもにも当てはめている場合も注意が必要です。年齢別のヒトの必要睡眠時間では、11~17歳の場合は 8.5~9.25時間、6~10歳の場合は10~11時間ですので、既に不足状態といえます。
また、症状の強弱や期間を考慮せず、インターネットなどから得た情報により、症状だけで睡眠障害と決めつけているケースもあるようです。子ども(幼 児以下は別)の睡眠が劣化する原因はいくつかありますが、一番は授業、部活、受験と成人以上に過密なスケジュールということでしょう。
世界で最も眠っていないのが、日本の子どもたち
平日の場合、通学で起床時間は固定され、睡眠リズムに必要な「朝の光」や「会話」、「運動」などは問題ないと思われますが、帰宅後に「睡眠を劣化さ せること」を行っているためにリズムが崩れることがあります。日常的な原因では、就寝前あるいは就寝後もスマホを操作していることです。ブルーライトは脳 を覚醒させるため、なかなか寝つけない状態に陥ってしまいます。また、夏休みには各テレビ局がこぞって夜通し長時間番組を放送し、これをきっかけに睡眠リ ズムを狂わせる子どもも非常に多いようです。
睡眠リズム障害に陥らないためには、以下の予防策が効果的です。
・起床時間を固定する
・長期休暇中は意識的に起床後、屋外の光を浴びるようにする
・食事をあまり変則でとらない
・長時間のうたた寝や昼寝、二度寝はしない
・就寝1時間前には液晶画面を見ない
子どもを睡眠リズム障害から守るためには、「何をした方が良いより、何をしないようにするか」という課題の方が多く、睡眠に悪影響を及ぼすものの排 除を考えるべきです。子どもの睡眠は大人の世界に影響を受けています。とりわけ、親の生活サイクルに最も影響を受けるでしょう。世界で最も眠っていないの が、日本の子どもたちなのかもしれません。
http://getnews.jp/archives/648223