いよいよ夏本番。暑い日が続くと子どもの熱中症が心配ですよね。
熱中症対策ドリンクとして最も有名なのは、イオン飲料。中にはこれを、「でかける時いつも持ち歩かなきゃ」と思っているママは多いのでは?
実は、ただ単に飲ませればいいわけではありません。最近では、イオン飲料による子どものむし歯が深刻な問題となっているのです!
そこで今回は、歯科医師の進藤ゆきこが子どもにイオン飲料を飲ませる時、気を付けないといけないことをお伝えします。
■意外と知られていないイオン飲料の危険なポイント
イオン飲料は、水の代わりとして哺乳瓶やストローボトルなどに入れて飲む必要のない時もダラダラ飲まないようにしましょう。
日本小児歯科学会が公式サイト上で、「イオン飲料は経口維持輸液よりも糖分の濃度が高く甘味がより強いので、習慣化する傾向がある」と提言しています。
子どもが味を気に入ってしまい、水を嫌がってイオン飲料ばかり欲しがることもあります。すると、むし歯だけでなく肥満や食欲不振などの影響が懸念されるのです!
また、イオン飲料のpHは3.6から4.6と低いものが多く、pH5.4以下ではエナメル質の脱灰が起こってきます。この状態がダラダラと続くと、飲み物自体のpHも歯を溶かす要因となるので要注意!
病気の時に医師から「イオン飲料を与えてください」などと指示があった場合や、スポーツなどで汗を大量にかいたときにも、与えすぎないように気を付けましょう。
■イオン飲料から子どもの歯を守る6つのポイント
最近では、ドラッグストアなどでも赤ちゃん用のイオン飲料が販売されています。
塩分や糖分の高い飲料は、乳幼児の未熟な腎臓には負担が大きすぎるのです。よって、飲ませる場合は大人用ではなく、赤ちゃん用を選ぶのが安心です。
その他に、飲ませる時は次の6つを気を付けてください。
(1)過激な運動や極端に汗をかいたとき以外は、普通の水を与える
(2)イオン飲料を水の代わりに使用しない
(3)下痢や嘔吐でイオン飲料を飲ませたときは、症状が軽快したら中止する。のどが渇いたときは、普通の水を飲ませるようにする
(4)寝る前や寝ながらイオン飲料を与えないようにする。夜中にのどが渇いたときには水を与える
(5)入浴後は水を飲ませる
(6)寝る前に歯を磨く。やむを得ず寝る前や寝ながら与えるときは、水を飲ませる
イオン飲料が習慣になってしまわないように、一度「水ではダメなのか?」と考えてから与えるようにしたいですね。
子どもは体温調節が未熟な上に、大人よりも地面からの照り返しにより体温が上昇しやすくなっています。よってこの時期は、喉が渇く前にこまめに水分補給を行い、暑い環境をなるべく避けましょう。
体調不良が疑われる場合は無理せず、受診した方が安心です。暑い夏を、親子で元気に乗り切りたいですね!
【著者略歴】
※ 進藤ゆきこ・・・専門家ライター。自身も子育て真っ最中の歯科医師、歯学博士。「毎日のオーラルケアをママとベビーのハッピータイムに」をモットーに、親子でお口の健康をもっと身近に感じてもらえるよう取り組んでいる。
【参考】
※ イオン飲料とむし歯に関する考え方(案) - 一般社団法人日本小児歯科学会
http://news.ameba.jp/20140801-563/