インターネットバンキング利用者の情報が盗まれて預貯金を勝手に送金される被害が、2013年は約14億600万円に上ったことが30日、警察庁のまとめで分かった。統計を始めた11年の約3億800万円、12年の約4800万円を大幅に上回った。
被害者の居住地は47都道府県に広がり、金融機関は32銀行に増えた。発生件数を月別で見ると、6月から急増して高止まりしている。
被害に遭った口座は1315件で、96%が個人名義。コンピューターがウイルスに感染し、取引に使うIDやパスワードを盗まれる手口が大半を占めた。11月以降は、銀行のホームページに似せたサイトに電子メールで誘導し、情報を入力させる手口も多発している。
警察が調べたところ、不正送金された預貯金の5割が現金自動預払機(ATM)で引き出され、2割はウクライナやロシアなど国外に送られた。
国外送金には延べ294人が関与し、うち194人は日本人だった。求人を装ったメールに従い、犯罪に加担したケースが目立つという。引き出し役など68人が検挙されたが、首謀者は逮捕されていない。