白鳥の飛来地として知られる阿賀野市の瓢湖(ひょうこ)で、鳥に餌付けをする「白鳥おじさん」がこの冬も活躍している。今季は掛け声で遠くにいる白鳥を呼ぶこともできるようになり、訪れた観光客を楽しませている。
18日午後3時、3代目白鳥おじさんの斎藤功さん(64)が湖の南岸にある餌やり場の桟橋に立った途端、白鳥やカモが群がり、遠くからも数羽の白鳥が飛んできた。斎藤さんが「こーいこいこーい」と声を響かせると、さらに北西の岸辺から4羽の白鳥が桟橋に向かって羽ばたき、周囲は激しい鳴き声に包まれた。桟橋を囲んだ大勢の親子連れなどは歓声を上げて見物を楽しんだ。
瓢湖では1954年、近くに住んでいた吉川重三郎さんが国内で初めて野生の白鳥の餌付けに成功した。継承した息子の繁男さんは白鳥おじさんとして親しまれ、高齢を理由に94年で引退。その後、20年近く不在だったが、瓢湖管理事務所で勤務経験があった斎藤さんが3代目として昨年1月から餌付けを始めた。
「大役が務まるか不安だった」というが、斎藤さんは、繁男さんをまねた掛け声やハンチング帽姿で一冬餌付けを続けた。再び白鳥が飛来し始めた10月からは市の臨時職員となり、餌付けも週5日に増やした。
11月中旬には、対岸にいた遠くの白鳥も初めて掛け声に反応し、4羽が飛んできたという。12月に瓢湖を訪れて餌やりを見た福井市の主婦山崎由香里さん(48)は「声で鳥を呼ぶなんてすてき。飛んでくる姿に感激した」と目を輝かせていた。
斎藤さんは「吉川さん親子は雲の上の存在だけど、少しでも近づけるように続けたい」と話している。
斎藤さんの餌付けは午前9時、11時、午後3時で、火・水曜は休み。問い合わせは瓢湖管理事務所(0250・62・2690)へ。