手をよく使う人や更年期の女性などに起こりやすいのが指や手首のけんしょう炎。痛みや動かしにくさが長引く場合は薬や手術で対処する。けんしょう炎の治療について伝える。
1.けんしょう炎とは
手の痛みを引き起こす病気はいくつかありますが、なかでも最も多い病気がけんしょう炎です。けんしょう(腱鞘)は指や手首にある鞘[さや]のようなもので、指を動かすための腱というひも状の組織がその中を通っています。けんしょうは指の曲げ伸ばしの際に腱が骨から浮き上がるのを防いでいます。けんしょう炎では、この腱とけんしょうに炎症が生じ、「手指の付け根が痛む」「指を動かすときに違和感がある」などの症状が現れます。症状が進むと、指を曲げ伸ばしするたびに痛みを伴う引っ掛かりを感じるようになります(ばね指)。ばね指が起こりやすいのは親指や中指、薬指です。また、手首の親指側に起こるけんしょう炎をドケルバン病といい、症状は痛みが中心です。
2.特に注意が必要な人は...
けんしょう炎やドケルバン病を起こしやすいのは、手をよく使う人です。また、糖尿病の患者さん、更年期や妊娠・出産期の女性にも多い傾向があります。
ドケルバン病には自分でチェックできる方法があります。親指を外側に広げたときに手首に2本の筋が浮かび上がりますが、その下側の筋の手首の辺りにけんしょうがあります。ここを軽く押すと痛みを感じる場合、また、親指を拳の中に握り込んで手首を小指側に曲げたときに、この場所が痛む場合には、ドケルバン病の可能性があります。けんしょう炎やドケルバン病は繰り返し起きたり、症状が長引いたりしやすいため、症状に気付いたら早めに受診することが大切です。
3.治療
軽度の場合には、まず消炎鎮痛薬の湿布薬や塗り薬を用いた薬物療法が行われます。症状が進んでいる場合にはステロイド薬をけんしょうに注射します。手指のけんしょう炎の場合、症状によっては伸ばせなくなった指を伸ばす装具や、曲げられなくなった指を曲がるように支持する装具を用いる場合もあります。
「薬物療法が効かない」「けんしょう炎を繰り返している」などの場合は手術の対象となります。手指のけんしょう炎の場合は、症状が現れている指の根元を1cmほど切開し、炎症を起こしているけんしょうを切り開くことで、腱がけんしょうに引っ掛からないようにします。ドケルバン病では、手首の皮膚を切開し、炎症を起こしているけんしょうを切り開きます。いずれの手術も手術後に手指や手首の動きに支障は生じませんし、再発の心配もありません。
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20131021-h-001.html