フェイスブックに次ぐ大物ITベンチャーの株式上場として注目を集めるツイッター。10月3日に証券取引委員会へ提出された資料から、ベールに包まれていた収益の詳細が初めて明らかになった(関連記事「ツイッターの上場申請で稼ぎ具合が”丸裸”」)。 さらに今回、10月24日に公表された資料で、ツイッターの企業価値が算出できる。
資料によれば、株式公開価格の目安は1株あたり17ドル~20ドル。最大で8050万株を売り出す予定なので、株式上場による調達資金は、もっとも多くて16億ドル(約1600億円)となる見通しだ。
そして、上場後の発行済み株式総数は5億4469万株になる予定。これに公開価格の上限である1株20ドルを掛けると約109億ドルだから、ツイッターの企業価値(時価総額)は約1兆円ということになる。
■ 先に上場したフェイスブックと比べると
では、109億ドルという時価総額は、ほかの有名IT企業と比べてみると、どれくらいの水準なのか。
まず、新規上場の”先輩”と比べるとどうか。ツイッターよりも一足先、2012年5月に株式上場を果たしたフェイスブックの時価総額は現在約1300億ドルなので、ツイッターの企業価値は、その10分の1以下だ。フェイスブックの直近の売り上げは約50億ドルに対し、ツイッターは約3億ドルだから、売り上げも時価総額もケタが1つ違う。
日本語版サービス開始にあたって2008年に来日した創業者のマーク・ザッカーバーグCEOは、「サービス開始がたまたま大学発だっただけ。友達といろいろな情報を共有したいというのは、普遍的な要求ではないかと思っている」とグローバルでのさらなる拡大に自信を見せていた。
この時、日本ではまだ匿名、仮名で使用できるミクシィが主流だった。実名登録での利用を推奨するフェイスブック普及には疑問符もついたが、「実名を公表すれば、ほかの人からも見つけやすく、互いの情報をより共有できる。偽名だと公開情報も偽りとみられ、おのずと情報の輪からも外れていく」と、日本での展開にも自信満々。
その予言通り、実名での利用は瞬く間に浸透し、日本におけるソーシャル・ネットワーキング・サービスの勢力図を塗り替えてしまった。
■ ヤフーと比べると時価総額はどれだけ違う?
フェイスブックと比べるとツイッターの企業価値はまだ”小さい”ともいえるが、古参のIT企業であるヤフーの時価総額は約340億ドルだから、109億ドルというツイッターの時価総額はなかなかのもの、ということになる。
現在、ヤフーのCEOは昨年7月にグーグルから転身したマリッサ・メイヤー氏。グーグル創業期の1999年に入社した人物でまだ38歳だ。直近では、雑誌『フォーチュン』の10月号が注目すべき40歳以下の人物を特集し、モバイル決済で変革に挑むスクエアのCEOで、「第二のジョブズ」とも言われるジャック・ドーシー氏をおさえ、メイヤー氏が1位に選ばれた。
目下、ヤフーはメイヤーCEOの下で積極的な買収を仕掛け、経営改革を推進中。2012年前半に15ドル前後だった株価は今では30ドル台。株式市場の評価は高まったが、10月15日に公表した第3四半期決算は売り上げは増えていない。メイヤーCEOの評価は期待先行というところだろう。
スティーブ・ジョブズ亡き後の展開が注目されるアップルの時価総額は約4800億ドルとツイッターの40倍強であり、頭抜けた存在だ。昨年後半には時価総額は6000億ドルを上回っていた。また、グーグルの時価総額は約3400億ドルと、フェイスブックの3倍近く、ツイッターの約30倍だ。
先輩格にあたるフェイスブックは、上場直後に株価下落という”洗礼”を浴びた。今回明らかになったツイッターの時価総額について、海外メディアの報道では、「複数のアナリストが予測していた水準よりも、かなり保守的だった」と指摘している。であるならば、株式上場後、フェイスブックとは逆に株価が上昇し、時価総額がさらに高まるのだろうか。
11月とされるニューヨーク証券取引所の株式公開で、ツイッターはどんな評価を受けるのか。フェイスブックの10分の1という企業価値は、あくまで現段階の評価にすぎない。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131026-00022597-toyo-bus_all
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