宝くじ「ロト6」をめぐる詐欺被害が広がっている。警察庁によると、今年だけで被害件数は100件以上。ネットで抽選と同時に当選番号が分かることを悪用し、それを知らない人に「事前に当選番号を教える」と持ちかけ、情報提供料として現金をだまし取るという。
近年、振り込め詐欺を筆頭に巧妙化している騙しの手口。それらはれっきとした「犯罪」だ。一方で『営業と詐欺のあいだ』(幻冬舎)の著者である坂口孝則氏は、「詐欺師と一流の営業マンは紙一重」だと言う。巧みな話術を駆使し、消費者にモノを買わせる一流の営業マンのテクニックは詐欺師の手口にも通じるところがあるということだろう。彼らのテクニックを知ることが、巡り巡って詐欺の自衛につながるのかもしれない。
坂口氏いわく、優れたセールスマンが消費者に伝えることは「メリット」「信頼」「価格」の3つだけ。まず、買い手は潜在的に日常への不満を持っている。そこで、「この商品を買ったらいかにあなたの生活がよくなるか」というメリットをイメージさせる。次に、すでにそれを買った客が満足していることを伝え、「あなたの選択は間違っていない」と信頼させる。最後に、購買判断の基準として一般的な価格と比較させ、おトク感を醸成するのだ。
例えば、ネット上で「株式投資で3億円稼ぐ方法!」「恋愛・ナンパ必勝法」といった小冊子つきのDVDが売られているのを目にしたことがないだろうか。「借金地獄だった私がこのノウハウを知った今、毎日寝ながら稼げるようになりました」「モテなかった人生が激変しました」といった成功者のコメントと共に、「これがたったの○万円で手に入るなんて」と価格の妥当性を示し、購買意欲をそそる。「そんなものに騙されるものか」と思う人は多いだろう。しかし、「本当にそんな方法があれば誰にも公開しないだろう」と考える人がいれば、「信じてみたい」と財布を開く人がいるのも事実なのだ。
この基本原則を軸に、「今買わないと在庫がなくなる」と“希少性”をチラつかせたり、「こんなにいい商品を買わないなんて後悔する」と“機会損失”を提示したりしながら買い手の心理を操るのが、営業マンの裏テクニックだという。
本書では、「絶対~できる商品」「あなただけが~に選ばれました詐欺」「絶対にご迷惑はおかけしませんから詐欺」など、我々が引っかかる恐れのある詐欺のパターンを紹介。加えて、それらから身を守るための撃退法も解説している。詐欺被害に遭う人は、「人のお願いを断れない」「人を信じてしまう」「脅しに弱い」といった傾向があるという。まさに自分も…と思った人は、ぜひ本書で詐欺の基本を学んで頂きたい。
人間の心理を利用し、巧妙な騙しを行う数々の手口。坂口氏は、詐欺から身を守るものは「知識」だと説く。詐欺の種類をできるだけ知っておき、似たような経験をしたときに、引き出しから取り出せる「知識」。それこそが、私たちを助けてくれる守護神になるのだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130904-00002792-davinci-ent