山や川、公園など屋外で過ごす時間の増える夏休み。夏場はハチが活発に活動する時期なので刺されないよう注意することが必要だ。ハチに刺されるとアレルギー反応を起こす場合もあり、症状が激しいと命にかかわることもあるという。(竹岡伸晃)
◆刺激しない
「昆虫採集は本当に楽しい。キャンプなどに行ったら樹液が出ている木を見つけて虫を捕ってみよう。でも、危険なのでハチには十分気をつけて」
夏休み前日の7月19日、東京都内の小学校で行われた「ハチ刺され」に関する特別出張授業。昆虫について詳しい俳優、哀川翔さんが児童らにこう呼び掛けた。続いて、独協医科大学病院(栃木県壬生町)呼吸器・アレルギー内科の平田博国講師が、ハチに刺されないための方法や刺された際の対策を紹介。児童らは「ハチの習性がよく分かった」「刺されないよう注意したい」と話していた。
平田講師によると、刺されると危険なハチは、スズメバチやアシナガバチ、ミツバチなど。野山や畑、公園などでよく見かける種類だ。7~10月にハチに刺される被害が増えるが、「通常、こちらが何もしなければ攻撃してくることはない」。
刺されないためにはハチを刺激しないことが重要。ハチは、外に干した洗濯物や布団に入り込んでいることがあるため、これらを取り込む際はハチがいないかよく確認する。ハチが家の中に入ってきたときは、明るい方の窓や玄関のドアを開け、自然に外に出るのを待つ。攻撃してくる危険があるため、手で追い払ったり殺虫剤を使ったりすることは避ける。服装やにおいなど野外で活動する際に気をつけておきたいことも多い。
もし、ハチが向かってきたら、(1)目を閉じて顔を下向き加減にし、身を低くしてじっとする(2)走らず、しかし速やかにその場から離れる-ことを心掛ける。手で振り払ったり大声を上げたりすると、「興奮したハチが集団で襲ってくる場合がある」(平田講師)ため注意が必要だ。
◆症状が出たら病院へ
ハチに刺された場合の対処法は-。
平田講師は「針が残っていたら取り除く。患部を水や氷などで冷やす。30~40分ほど安静にして、異常がなければひとまず大丈夫。通常、痛みや腫れは数日で消える」と説明。しかし、「ハチ毒にアレルギーがあると、じんましんや嘔吐(おうと)、むくみ、発汗、めまい、呼吸困難などの全身症状が出る場合がある。その際はすぐに病院に行く」。
アレルギー反応が激しい場合、意識障害や急激な血圧低下によるショック症状で命を落とす危険があるという。途中で意識を失うこともあるため、病院に向かう際は自分で車を運転することは避ける。
1~2年の間に複数回ハチに刺されると、アレルギー反応を起こしやすい。特に過去、全身症状が出たことがある人は要注意だ。備えとしてはショック症状を和らげるアドレナリン自己注射薬(商品名エピペン)の携帯が有効。自分で注射するもので、入手するには医師の診察を受ける必要がある。
平田講師は「エピペンはあくまで応急処置。必ず病院で治療を受けてほしい」と話している。
■ハチ刺されを防ぐための野外での主な注意点
【巣に近寄らない】
○巣に触れない
○巣の近くで手足を急に動かさない
○巣の近くで枝や棒などを振り回さない
【服装を工夫】
○黒色の服やひらひらした形状の服は避ける
○黒色のかばんや靴、カメラなどは持たない
○腕、足などをなるべく出さず、肌を隠す服を着る
○帽子をかぶる
【においに注意】
○香水や香りのする整髪料は付けない
○ジュースなどを飲む際は注意する
※平田講師の話を基に作成
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20130809507.html