認知行動療法(CBT)は鬱や不安障害、むちゃ食い障害などの問題に、非常に有効な治療法のひとつとされています。
この記事では、臨床心理学者で社会心理学者でもあるAlice Boyes博士に、自宅で実践できるCBTの手法をいくつか教えてもらいました。気分や不安、ストレス関連の問題の緩和に向けて、取り入れてみてはいかがでしょうか。
1. 「歪められた認知」に気付く練習をする
「歪められた認知」には多くのパターンがあります。「ネガティブな予測」に陥りやすい自覚のある人は、1週間のあいだ、自分がネガティブな予測をしすぎていないか意識してみてください。例えば「パーティーなんて楽しくないだろう」「くたびれてて運動する気になんかなれないだろう」「上司は自分のアイデアを気に入ってはくれないだろう」、そんな風に考えている自分に気付くかもしれません。
そんな「歪み」に気付いたら、「ほかの考え方はないだろうか?」と自問してみましょう。ネガティブな予測の例で言うと、「ほかの結果は考えられないか?」と自分に尋ねてみるのです。次の3つの質問をしてみるといいでしょう。「起こりうる最悪の結果は何か?」「起こりうる最善の結果は何か?」「実際に最も起こりそうな結果は何か?」
2. 自分の考えが正しいか追跡する
「抱えている問題についてたくさん考えれば考えるほど、解決策を見出すのに役立つだろう」と考える人がいます。この思い込みは、同じことをいつまでも考え続ける「反芻思考」につながりがちです。
本当にその考え方は正しいのでしょうか? 紙を左右2つの欄に区切り、反芻思考に陥っていると気付いたら一方の欄に書きとめます。そして、その反芻思考が問題の有効な解決につながったかどうかを、隣に記録します。これを1週間続けて、反芻思考した回数のうち、どれだけの割合で問題の有効な解決につながったかを計算しましょう。
もうひとつ、良い方法があります。反芻思考に気付いたら、だいたい何分間くらい考え込んでいたか記録するのです。そうすると、1つの問題について有効な解決策を得るまでに、どれだけの時間を反芻思考に費やしたのかが分かります。
3. 自分の考えを行動によって検証する
「休憩を取る時間なんてない」と考えている人は、まずは1週間いつも通りに仕事をして、毎晩寝る前に、その日の生産性を10点満点で採点しましょう。その次の1週間は、1時間ごとに5分の休憩を取り、同じように生産性を自己採点します。その後、1週目と2週目の生産性を点数で比較します。
4. 自分の考えが正しいか正しくないか、それぞれの根拠を挙げて評価する
「自分は何ひとつ満足にできない」と考えている人。紙を左右2つに区切り、片方の欄には「自分は何ひとつ満足にできない」という考えを裏付ける客観的な根拠を書き、もう片方にはその思い込みが正しくないという客観的な根拠を書きます。
それから、これらの根拠を正確に反映した、釣り合いの取れた見解をいくつか書いてみましょう。例えば「私は恥ずかしい間違いを犯したこともあるが、たいていの場合は正しい選択をしている」といった具合に。この新しい見解を完全に信じられなくても構いません。まずは試しにやってみてください。
5. マインドフルネス瞑想法
マインドフルネス瞑想法では、ひとつの物事、例えば呼吸に意識を集中します。あらかじめ数分間の時間を決めて、呼吸「について」考えるのではなく、呼吸の感覚を味わうことに意識を集中してください。
何か考えが心に浮かんだとしても、穏やかに、そして自らを批判することなく、呼吸の感覚を味わうことに意識を戻しましょう。マインドフルネス瞑想法は、特に認知再構成のための技法というわけではありませんが、自分が考えにふけっていることを意識するためのすぐれた訓練法です。自分が今どんな考えを抱いているのか意識するのは、認知再構成の重要な第一歩です。
6. 自己への思いやり
「自己への思いやり」とは、例えば苦しいと感じた時、自分自身に優しく語りかけることです。マインドフルネス瞑想法と同じく、こちらも認知再構成の方法というわけではありませんが、有効に利用できます。
例えば、何かバカなことをしてしまった時、いつも自分を罵っている人は、罵るのをやめて自己への思いやりを持ってみましょう。具体的には、まず間違いを犯したことを認め、恥ずかしく感じていることを認め、さらに「これは人間なら誰もが経験すること」だと認めるのです。
時間をかけて、自己批判の代わりに自己への思いやりを持てるようになれば、あなたの考え方は変わるでしょう。その頃には、他人に対する考え方も優しく寛容になった自分に気付くかもしれません。
Cognitive Restructuring | Psychology Today
Alice Boyes(原文/訳:吉武稔夫/ガリレオ)
lifehacker
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/healthcare/lifehacker_31762.html