今年初め、ノルウェー水産物審議会(NSC)が自国のサーモンや海老など海産物PRのために制作した動画「すしダンス」が、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で「おもしろい」と反響を呼んだ。どうやら、人気の震源は日本で、それがノルウェーの人々にまで伝播したようだ。
「人間すし」に扮した全身タイツ姿の男女が、音楽に合わせ、コメとすしネタと化して「握り」「刺し身」「巻き」の3種の作り方をダンスで表現する「すしダンス」動画はNSCが2012年11月に作成、翌13年1月に公開した。MSN産経ニュースでも1月29日に「『すしダンス』が話題」と報じたところ、「なんだこれは」「すごい」と大きな反響があった。となると、現地でどう受け止められていたのかが気になる。そして、すしダンスの「その後」は…?
ノルウェーを訪れた際、出会った現地の方に「すしダンス」について聞いてみた。「なんだそれは?」と逆に質問する人もいたが、地元すしレストランの職人や魚介類の販売店員などには浸透している様子。もっとも、ノルウェーを訪れている日本人のほうが「見たよ、あれには驚いたよね」とすぐさま反応が返ってきた。
ノルウェー北部のトロムソ観光協会に勤める日本人スタッフは「ノルウェー発『すしダンス』が日本人を魅了」というニュースがノルウェーで報道され、ノルウェー人らが「日本人も話題にするぐらいだから、どのような動画か見てみよう」と話題になっていったと現地の様子を分析する。NSC広報担当者によると、動画の視聴数も日本人が249,000回と、ノルウェー人の176,690回を大きく上回っている。動画「すしダンス」人気は、日本からノルウェーへの“逆輸入”だったようだ。
動画の反響で、NSCのねらい通り自国の海産物の消費量が上がったのかが気になるが、今は「興味を持ってもらった最初の段階」(同広報)と控えめ。それでも、スーパーでは「すしキット」なる刺身とコメがセットになったものが販売され、すしレストランが増えるなど、現地ではすしは確実に身近な存在になっている。NSCが運営している、サーモンなど海産物レシピを掲載している消費者向けウェブサイト(Godfisk.no)のアクセス数も増え続けているといい、まずまずの手ごたえらしい。
これだけ話題になった動画だけに、次のキャンペーンはさぞかしハードルが高いはず。そう尋ねると、広報担当者は「新しい案はいろいろあるけど…いまはまだ思案中」と思わせぶりに笑った。極北の地から、どんな気合の入った“ネタ”が飛び出すのか、いまから楽しみだ。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130427/trd13042718010021-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130427/trd13042718010021-n2.htm