関西の医療機関や老人保健施設でガスコージェネレーション(熱電併給)設備の導入が進んでいる。東日本大震災を機に、災害時の非常電源として活用するケースが増えたためだ。関西電力管内では4月に企業向けの電気料金が値上げされるが、ガスコージェネは電気代の削減にも役立つ。電力消費の多い病院などでは節約効果も加わり、普及に拍車をかけそうだ。
大阪ガスによると病院や介護施設では、一昨年の震災以降、コージェネ設備の導入が急増している。平成20~22年度の導入実績はわずか5カ所7台だったが、震災後の23~24年度は34カ所62台の導入が決定。うち13カ所27台が設置済みだ。
停電による医療機器の停止は患者の命にかかわる。東日本大震災の被災地でも、停電に加えて非常用電源の燃料の重油が不足し、病院が十分な機能を果たせないケースがあった。
こうした前例を踏まえ、市立池田病院(大阪府池田市)は24年12月に、コージェネ設備6台、計210キロワットを導入した。現在は電力使用の多い月~土曜日に発電・給湯を行い、週平均で60時間程度稼働しているという。停電時も同設備で救急外来や手術室への電力が賄えるため、最低限の医療活動は継続できるという。
同病院は関電と大口の電力購入契約を結んでいるが、関電は国の認可が不要な産業用の電気料金を予定通り4月から値上げする方針だ。値上げにより、病院の電気代は年間約2千万円増えるという。
だがコージェネによる発電で関電からの電力購入を補うことで、ガス代などを差し引いても年間約240万円の電気代が節約できる。料金値上げ分の1割強をカバーできる計算だ。同病院の責任者は電気代について「人命を預かる以上、停電への対応は不可欠だが、思わぬ形で電気代の抑制にもつながった」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130310/trd13031019010006-n1.htm