日本循環器学会は、突然心臓が停止した人への救急措置として、心臓マッサージと人工呼吸を併用した場合より、心臓マッサージのみを繰り返し行った方が救命率が高いとの分析結果を発表した。
心肺蘇生術とAED(自動体外式除細動器)が併用された1376例において、1ヶ月後に社会復帰できた割合は心臓マッサージと人工呼吸併用で33%、心臓マッサージのみの場合は41%であった。
突然人が心肺停止で倒れた場合、AEDや救急隊員の到着までの数分間に一般市民がどれだけ心肺蘇生を行ったかでその後の生存率が大きく変わる。2008年に米国心臓病学会により、心肺蘇生は人工呼吸を併用せず心臓マッサージのみを推奨する声明が発表されている。
学会の発表を受け、消防署などでの救命講習でも救命救急には心臓マッサージが有効であると教えてくれる。二人以上蘇生に関わる人がいれば心臓マッサージをしながら人工呼吸を併用するのも効果的だが、ひとりでしなければならないときは心臓マッサージを続けた方がよいとのことだ。
大人の胸骨を1分間に100回以上のスピードで圧迫し続けるのは相当に体力が必要だ。どのくらいのスピードかというと、頭の中で「もしもしかめよ、かめさんよ」を歌いながら押すとちょうど良いそうだ。
最近はAEDを装備している施設も増えてきた。もしも目の前で人が倒れたら、誰かに119番通報とAEDの手配を依頼し、できるだけ早く心臓マッサージに取りかかれるよう心づもりをしておきたい。