[ カテゴリー:社会 ]

空前の登山ブーム、遭難事故も…山岳ガイドに聞く傾向と対策

空前の登山ブームである。山ガール、家族連れ、そして中高年…。大学の山岳部や社会人の山岳会に限られていた山登りを多くの人が楽しんでいる。しかし、疲労、転滑落、落雷、道迷いなど遭難事故も多い。まずは山岳ガイドによるツアー登山で知識と技術を身に付けてから山と親しみたい。

■知識と技術を身に付けてほしい

--山岳ガイドは何をするのですか

太田 10人、20人というツアー登山の参加者を連れて歩きながら山行全体の管理をします。具体的には「足場が悪いから気を付けてください」「落石に注意して」「10分間休憩をとります」「稜線(りょうせん)に出ると風が強いのでここで防寒具を着ましょう」といった指示を出す。山岳ガイドがリーダーとして同行すると、遭難事故がグンと減ります。

--それはなぜですか

太田 登山は経験がものをいうからです。山登りの経験豊富なリーダーが付いていると、事故の起きる確率が大きく下がる。

--最近の遭難事故の傾向を教えてください

太田 東京の奥多摩の昨年の事故統計を見ると、道迷いや疲労が目立つ。地図や方位磁石を携行していないから道に迷う。あるいは持っていても地図を読めなかったり、磁石が使えなかったりする。明らかに知識がなく、経験不足です。

--文部科学省によれば、ハイキングも含めた年間の登山人口は1千万人を超え、まさに登山ブームです

太田 いまは大衆登山の時代。以前は若い人が山岳会に入ってチャレンジしていた。山は魅力的だということで、20年ほど前からは多くの人々が登山を始め出した。ここ数年はさらに山登りを趣味にする層が広がった。老若男女が山を楽しんでいる。ただそうなってくると、問題も起きる。

--問題?

太田 観光やレジャーの延長で山に登ってしまう。2000メートル、3000メートル級の山までその感覚で入ってきてしまう。

--たとえば

太田 午後から登り始めて途中で暗くなってしまう。とくに冬は日没が早い。低山でもヘッドランプを持っていないと下山できない。それで「助けて」と救助の要請を出す。以前だったら山岳会や山岳部に入って経験のある先輩から登山の知識や技術を学んだ。だけどいまはいきなり個人でスッと入ってしまう。せいぜい山岳雑誌や登山の入門書を読む程度で、にわか登山者が多い。それでも天候などの条件が良いと登って無事に下りられる。愕然(がくぜん)とさせられたこともあります。

--それはどんなことですか

太田 北アルプスの奥穂高岳(3190メートル)の山小屋で知り合った若い女性2人に「奥穂の前はどこに登ったの」と聞いたら「東京の高尾山(599メートル)。雑誌で見た奥穂高岳の景色がとてもきれいだったから高尾山の次にここに登った」と言うんです。低山に1回登っただけで3000メートル級の山に来てしまう。段階を経ずに憧れの山にすぐ登ってしまう。自分の力量と山との関係が、まるで分かってない。

--どうすればいいのでしょうか

太田 いまさらそういう人たちに「山岳会に入って登山を基礎から学びなさい」といっても無理。そこまでの覚悟で山を登っているわけではないのだから。そこで山岳ガイドによるツアー登山が必要になってくるのです。

--日本山岳ガイド協会というのがあります

太田 会長が自民党前総裁の谷垣禎一さん。登山の指導者を育成することなどが目的で、これまでに約1千人がガイド資格を取っています。自分はガイド資格を与える検定員(試験官)をしている。協会はガイド資格を国家資格にするよう活動しています。

【プロフィル】太田昭彦(おおた・あきひこ) 日本を代表する山岳ガイド。昭和36年7月26日生まれの51歳。登山教室「歩きにすと倶楽部」を主宰する。高校時代から登山に夢中になり、平成7年から8年間、登山家の岩崎元郎氏の「無名山塾」で講師を務める。ヒマラヤなど海外登山の経験も豊富。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/education/snk20121215513.html

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